ブルータル・リオス
プレイヤー:NeCo
何が善で、何が悪かは、
俺が決める!!
NeCo
- 種族
- リカント
- 年齢
- 26
- 性別
- 男
- 種族特徴
- [暗視(獣変貌)][獣変貌]
- 生まれ
- 拳闘士
- 信仰
- ランク
- レイピア
- 穢れ
- 0
- 技
- 11
- 体
- 7
- 心
- 7
- A
- 6
- B
- 9
- C
- 8
- D
- 7
- E
- 12
- F
- 6
- 成長
- 3
- 成長
- 6
- 成長
- 2
- 成長
- 0
- 成長
- 0
- 成長
- 2
- 器用度
- 20
- 敏捷度
- 26
- 筋力
- 17
- 生命力
- 14
- 知力
- 19
- 精神力
- 15
- 増強
- 2
- 増強
- 増強
- 1
- 増強
- 増強
- 増強
- 器用度
- 3
- 敏捷度
- 4
- 筋力
- 3
- 生命力
- 2
- 知力
- 3
- 精神力
- 2
- 生命抵抗力
- 7
- 精神抵抗力
- 7
- HP
- 29+15=44
- MP
- 15
- 冒険者レベル
- 5
経験点
- 使用
- 14,000
- 残り
- 515
- 総計
- 14,515
技能
- グラップラー
- 5
- スカウト
- 4
- エンハンサー
- 3
- アルケミスト
- 1
一般技能 合計レベル:11
- カーペンター
- 4
- レイバー
- 3
- ボーンカーパー
- 1
- ソルジャー
- 3
戦闘特技
- 《鎧貫きⅠ》
- 《両手利き》
- 《頑強》
- 《追加攻撃》
練技
- [補]【キャッツアイ】
- [補][準]【ガゼルフット】
- [補]【マッスルベアー】
賦術
- [補]【ヴォーパルウェポン】
判定パッケージ
スカウト| 技巧
|
| 7
| 運動
|
| 8
| 観察
|
| 7
| |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
アルケミスト| 知識
|
| 4
| |
- 魔物知識
- 0
- 先制力
- 8
- 制限移動
- 3 m
- 移動力
- 26 m
- 全力移動
- 78 m
言語
| 会話 | 読文 | |
|---|---|---|
| 交易共通語 | ○ | ○ |
| リカント語 | ○ | ○ |
賦術
| 賦術 基準値 | ダメージ 上昇効果 | 専用 | |||
|---|---|---|---|---|---|
アルケミスト| 賦術
| ―
| 4
| ―
|
| |
| 技能・特技 | 必筋 上限 | 命中力 | C値 | 追加D | |
|---|---|---|---|---|---|
グラップラー| 18
| 8
| ―
| ―
| 8
| |
| 武器 | 用法 | 必筋 | 命中力 | 威力 | C値 | 追加D | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| アイアンボックス+1 | 1H | 10 | +2=| 10
| 11
| +1= |
| |
| 技能・特技 | 必筋 上限 | 回避力 | 防護点 |
|---|---|---|---|
グラップラー| 18
| 9
| ―
| |
| 防具 | 必筋 | 回避力 | 防護点 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 鎧 | ハードレザー | 13 | ― | 4 | |
| 合計:グラップラー/すべての防具・効果 | 9 | 4 | |||
| 装飾品 | 効果 | |
|---|---|---|
| 右手 | 剛力の指輪 | 筋力値+1 |
| 左手 | 宗匠の腕輪 | 器用値+2 |
- 所持金
- 4,780 G
- 預金/借金
- G
所持品
アイアンボックス 230G
ハードレザー 防護点4 必要筋力13 340G
冒険者セット 100G
着替えセット 10G
Tシャツ 10G
ズボン 10G
ベルト 10G
ジャケット 30G
下着 3G
ブーツ 20G
ピアス 8G
チョーカー 10G
保存食 9day
俊足の指輪 500G
宗匠の腕輪 1000G
剛力の指輪 500G
マテリアルカード赤B10枚
マテリアルカード赤A3枚
マテリアルカード
| B | A | S | SS | |
|---|---|---|---|---|
| 赤 | 10 | 3 |
- 名誉点
- 29
- 冒険者ランク
- レイピア
名誉アイテム
| 点数 | |
|---|---|
| 冒険者ランク | 50 |
容姿・経歴・その他メモ
経歴
6-2
溺れたことがある
6-5
引きこもっていたことがある
1-5
未だかなわない夢がある
冒険に出た理由
家族を全部失ったので
一般技能:成長ポイント0
基本情報
北部辺境のリカントの街出身
また別の北部辺境の村の師匠に戦闘を教わり、その師匠が逝去したため冒険者になるため旅に出る。
簡略経緯
北側諸国辺境のリカントの町に生まれる
→色々あり、父親に地下の部屋で稽古を受けていたが逃げ出し、その先で崖から落ち川に流される
→川下で師匠に拾われる
→戦い方を師匠から学び、師匠とともに村の守り人を勤める
→師匠が逝去し、広い世界を知るべく冒険者になるために村を出る
→道すがら立ち寄った村の手助けをしながら旅を続け、冒険者に
ステ振り
A 6
B 3 3 6 +3
C 8 4 8
D 6 5 7
E 6 +6
F 6
師匠の名前 ダイダル・ロード (あだ名:Ð2 ダイ ダイダル)
バックストーリー
星屑の鍋 〜白き狼の章〜
第1章 「日常は突然に」
俺は北側諸国辺境の街で生まれた。総人口は約300人ほどのリカントのみで形成された街で、冒険者ギルドは無く、代わりに街を守る中隊に満たない程度の防衛部隊があり俺の父はそのまとめ役を担っていた。母は特別な役職についていないただの専業主婦だが街一番の美人で知られており、元公国騎士団の大隊長にまで上り詰めた父が蛮族の討伐任務でこの街に立ち寄った際に、母に一目惚れし婚約を申し込んだことが馴れ初めらしい。その際に貴族との見合い話とか役職の関係で一悶着あったらしいが、そのすべて跳ね除けて父はこの街にやってきた。初めは外部から来た父に街の皆は警戒を示していたが、彼の努力家で実直な性格と、元大隊長の経験から防衛部隊のまとめ役の役職を任されるまでの信用を勝ち取った。今では街長に並ぶ街の顔役として、また、街一番の愛妻家として知られている。そんな父は俺にとって誇りであり、憧れだった。いつかは父のような皆から信用されるでっかい男になりたいと本気で思っていた。そんな父だから母は彼に恋して、今の幸せな家族の理想像ともいえるような生活が送れているのだろう。父と母から十分過ぎるほどの愛を注がれて俺は育った。業務の合間を縫って父は俺に稽古をつけてくれて、父からの「お前は俺に似て筋が良いな!このまま真面目に鍛錬を積めばいつかは俺を超えるかもな〜。」「お前は俺の誇りだ」という言葉が大好きだった。
俺は、俺の大好きな家族の誇れる存在いつまでもいれるようにと努力した。
俺が9歳の誕生日を迎えたそんなある日のことだった。
俺の街が蛮族の群れに襲われた。今までも何度も蛮族の襲来はあった。だが今回は、今までとは明らかに量が違う。多くても10体程だった蛮族の群れが、今回はその20倍以上に増え、さらに未確認の蛮族も紛れ込んでるらしいとの報告があった。父とその仲間の防衛部隊もすぐに蛮族の鎮圧に向かっていった。正直不安だった。もちろん父の強さは俺が誰よりも信頼している。それでも、未知の量の蛮族と、未知の蛮族の存在。それら未知の存在が俺の心を不安の色で染め上げていく。恐らくそんな不安が顔にも出ていたのだろう。母は俺を優しく抱きしめてくれた。
「大丈夫よブルー。貴方のお父さんはとっても強いもの。今までだってどんなに厳しい戦いだって生き残ってきて、どんなに困難なとこだって成し遂げてきたでしょ。だから安心して。今は笑顔で、行ってらっしゃいって言うときよ…ね?」
そんな母の優しい声色に俺の不安は少しずつだが和らいでいった。
「そうだぞブルー。安心しろ。俺は強い!それに頼もしい仲間だって付いてる。大丈夫だ、必ず戻ってくるよ。だから、母さんのことは頼んだぞ」
そう言って父は俺に向かって、拳を突き出してきた。別れの際にまた会おうという意味や、戦いに赴く戦士たちが必ず戻ってくるという覚悟の表れの意味を込めて拳を突き合わせる、この街の風習だ。他にも、仲間を鼓舞したりする時に使われる。
(あぁ、そうだ。)
(きっと父さんも心のなかでは恐いんだ。)
(今俺がすべきことは不安な顔をするのではなく、同じ男として、、戦士として、、彼を送り出し、彼の帰りを信じて待つことだろ!)
そう心を決め俺は、
「信じてるから。絶対戻ってきてよ!」
その言葉とともに、俺は拳を突き合わせた。
俺のその言葉に父は「おぅ!」と短く返事をし、笑顔を見せた。そして、俺と母、それぞれにハグをし、行ってくるという言葉ともに戦地へと向かっていった。
第2章 「無力さ」
父が戦地へ向かってから、数刻過ぎた。いつもの蛮族討伐ならそろそろ帰ってくる頃だ。今、街の正門側はどうなっているのか。戦況は?街の状態は?俺には何も分からない。
「私達に出来るのはいつも通り信じて待つことだけよ」
父の好物の鶏肉と野菜のシチューを作りながら母は微笑み掛けてくる。こういうときの母親の存在は偉大なものだ。彼女がそうやっていつも通り過ごしているだけで、本当に大丈夫なのだと根拠のない安心感が俺を包んでくれる。
(父さん、早く帰って来ないかな。)
母の作るシチューは俺も大好物だ。父の語る戦場での活躍を聞くのも好きだ。いつも通りのそんな食卓が待ち遠しい。
そんな時だった。
つい先程まで静かだった街が、騒がしくなってきていることに気が付いた。もしかして、父さん達が戻ってきたのかな?でも、いつもとちょっと雰囲気が違うな?子供ながらそんなことを思っていると、玄関のドアが忙しなく叩かれる音が聞こえた。
「はーい」
母が玄関の扉を開ける。そこにいたのは、防衛部隊の伝令を任されている人。息を切らしながら、彼は焦った様子で話し出す。
「奥様!つい先程、正門側とは別の蛮族が街西側の防護柵を破壊し街に侵入してきたとの連絡がありました!」
「「…えっ?」」
彼の口から語られたのは驚きの情報だった。俺の家は、この町の西側の住宅街の一角に建っている。それなのに防護柵が破壊された音が一切しなかったのだ。
「現在街の若者数名が足止めを行っており、防衛部隊の一部が殲滅に向かっておりますがここも戦場になる場合がございます!
周辺住民にも呼びかけを行い避難を始めてもらっています!!なので早く東側に避難を!!!!」
彼はその言葉を言い終わったと同時に、駆け足で別の住宅の方へ向かっていった。
(そんな…蛮族が、音もたてずに防護策を破壊するなんてことが本当に可能なのか???)
今までこの街にそんな蛮族が現れたなんて話、聞いたことがない。もしそうなら、例の未確認の蛮族が自分のすぐ近くにまで迫ってきているのかもしれない。そんな恐ろしい想像が、自身の体に寒気をもたらす。恐い。忍び寄る見えない恐怖が何よりも恐かった。
「ブルーッ!!行くよ!!」
母のその言葉とともに手を引かれ、俺の体はようやく正気を取り戻した。
(そうだ!今は早く逃げないと!)
そうして、俺と母は家を飛び出し街の東を目指し、駆け出した。そして、数件の家屋の前を通り過ぎたとき、
あいつがいた。
目の前の二階建ての家屋の陰から、その巨体はゆっくりと姿を現す。そいつは、俺の身長を優に超え3mに届く背丈と、額に生えた二本の禍々しい角、まるで樹齢数十年の丸太のように太い腕。右手には粗く削りだされた棍棒、左手に引きずられた男性が頭を掴まれている。記憶が正しければ、防衛部隊の人。
そんな、子供が思い描く恐い化け物をそのまま引きずり出してきたかのような存在が、今、目の前にいる。
行き先を塞ぐように現れた蛮族が、徐々に目線を下げ俺たちを見下しす。そして左手に掴んでいる男性を、まるで幼い子供が飽きたおもちゃを捨てるかのように道の端に投げ捨て、にたりと不気味に笑う。どうやら興味はこちらに移ったらしく、一歩また一歩とこちらに近づいてくる。
俺は、気づいたら剣を抜いていた。9歳の誕生日に父から特訓兼自己防衛用にと贈ってもらった少し大きい剣の切っ先を、俺はその蛮族に向ける。
「母さん逃げて!!」
そう言って俺は、母親の前に出る。
(最近は稽古の時にあの父さんから一本取れるようになったんだ。母さんが逃げるだけの時間は稼いでみせる。だって、父さんから言われたんだ。母さんを頼むって。)
対峙した蛮族は、成人男性とほとんど同じ大きさの棍棒を、その重みを感じさせず大きく振りかぶる。
(そんな大振り、まともに当たるもんか!受け流して懐に入り込んで、そのがら空きの胴体に一撃いれてy)
そんな甘く薄っぺらい考えは途中で、振り下ろされた一撃に一瞬にしてかき消された。
体中に痛みが走る。どうやら吹き飛ばされ壁にぶつかったらしい。身体中が熱い。状況の理解を脳が拒んでいる。少し目を開ける。目の前に広がるのはさっきまで自分が立っていた地面ととっさに攻撃を受けた時に折れてしまった剣。少しずつ広がっていく赤い液体。本来体中に酸素と栄養を運ぶ役割の血液が、まるでその仕事を放棄するかのように体の外に逃げ出していく。
(…早く、…立ち、上がらないと...)
そんな思いを裏切るように俺の体少しも動いてはくれない。眼前の光景を写す視界も徐々に黒く濁っていく。意識が遠のく。薄れゆく意識の中最後に目に映ったのは、こちらに駆け込み叫ぶ母親。何かを言っているが、それを聞き取り理解することはできなかった。そんな母の背後に、黒く大きな影が全てを捻りつぶすかのように大きく振りかぶる。
(...母さん、…に、げ...)
その思いは、言葉として発せられることはなかった。そこで俺の意識は途絶えた。
まるで毛布のような、優しく、温かな温もりが体を包む感覚を最後に感じて。。。
第3章 「命とは」
ここで死ぬのだと思っていた予想は外れ、俺は目を覚ました。左目は何かをまかれているのか、写るのは淡い光のみ。右目には白い天井が広がっている。少し目線を下に向けると、看護師と思われる女性が慌ただしく行ったり来たりしている。ここを知っている。怪我をした時に何度も訪れたことのある街の東側にあるこの町唯一の治療施設。そこのベッドの一つに俺は寝ていた。
少しの時間がたち、足元を通る内の1人がこちらに話しかけてきた。
「...ブルー?、ブルー!!目を覚ましたのか!」
そう言って彼は歩み寄る。それは知っている人で、父と同じ防衛部隊でNo2の副隊長を任されている人だ。昔から何度も家に食事を取りに来て、一緒にご飯を食べたり、遊んでもらったりして面識がある。名前はガイセル・リドルス。
「良かった...もう二週間は目を覚まさなかったから、このまま目を覚まさなかったらどうしようかと。体の調子はどうだ?どこか痛くないか?」
・・・彼は今なんて言った?。俺が二週間目を覚ましていなかったって言ったのか?。あの襲撃から、すでに二週間たっていると?。
「...あ、の、すい、ません。み、んなは、街は、どうなった、の、ですか?」
うまく口が動かないが、気づいた時にはかすれるような声で俺はそう聞いていた。
「?。あ、あぁそうか、確かに気になるよな。大丈夫、あの襲撃で現れた蛮族どもは全部討伐できているよ。安心していい。」
「そう、ですか。よかった。・・・母さんは?どうなったんですか?」
その言葉に、彼は口をつぐむ。不安が募る。そのほんの少しの沈黙ののち、再び彼の口は動き出した。
「君のお母さん、ミーシャさんは...」
そう話を切り出して。彼の口から語られる真実は、寝起きの状態の脳では理解できない、いや、理解したくない内容だった。
「ミーシャさんは…亡くなられたよ。俺たちが西門の襲撃の知らせを聞いて現場に着いた時には、彼女はは獣変貌をした状態で君をかばうようにしてうずくまっていた。俺たちが着いたころにはもう手遅れだったんだ…本当にすまない。街の住民を守るのが、俺たち防衛部隊の仕事なのに。今回の襲撃で、君のお母さんを含め多くの被害を出してしまった。謝ってどうにかなるだなんて思ってない。だが…本当にすまない。」
彼は自身の無力さを嘆くかのように言葉の節々に後悔の感情を滲ませながら、そう語った。意識を失う直前に感じたあの温もりは、母の温もりだった。彼女は、自身を犠牲にしてまで俺を守ってくれた。目頭が熱くなる。見えている片方の視界が滲む。目頭を抑えようとしたが、自身の両の手は未だ動かすことが出来ず、顔の輪郭をあつい雫が伝っていく。溢れる涙は枯れることはなく、その日は日が明けるまで泣きじゃくった。
母の死を告げられてから、およそ半年の月日が流れた。
この半年の間、父が俺の病室を訪れることは一度もなかった。そのことをガイセルさんに聞くと彼は少し申し訳なさそうな顔をしながら、「隊長は今、あの襲撃の後始末や部隊の復興で忙しいんだ。彼も息子である君のことを心配していたが、なかなか君の元を訪れる時間が取れないみたいでね。」と答えてくれた。(自分の息子がこんな状態なのに、そっちのほうを優先するのか。こんな時だからもう片方の親の存在が大事で、会いたいのに。)なんて思ったがきっと責任感と正義感の強い父のことだ。今はだれよりも頑張っているんだろう、自分も早く退院出来るように頑張らないと、なんて自分に言い聞かせた。
治療施設に集められた襲撃の被害者は多く、俺の怪我の治療までかなりの時間はかかったが、折れていた骨は綺麗に繋がり身体中の傷もいくつかは痕が残ったが完治した。数か月間寝たきりで動きが鈍く力が入らない体に鞭をうってリハビリをした。早く退院するため、そしてみんなを手伝うために。母が救ってくれたこの命で少しでも多くの人を助けよう、そう心に決めて。
第4章 「見たくない世界」
病室で目が覚めてから半年と少しが経ち、俺はあの襲撃前と変わりがないくらいに回復した。そして退院の日。その日はガイセルさんが迎えに来てくれた。俺が入院している間、父さんはただの一度も俺の元を訪ねてきてはくれなかった。それ自体はすごく寂しかった。それでも、父さんは今は忙しいんだと自分に言い聞かせた。
退院してまず最初に、母さんの墓参りに行った。花屋で母の好きだったカンパニュラの花を買い、街の共同墓地へ向かう。広い墓地の一角、並んだ真新しい墓の一つに母さんの名前があった。それを見て俺は茫然自失した。今目の前にある゛それ゛が母の死をただ静かに告げていた。あらかじめ知っていて、理解もしていた。心の何処かでは、これは全部夢なのだと、戻ればいつも通りの姿で待っていてくれてなんて、ありえもしない期待をしていたから。俺はいつまにか流れていた涙を袖で拭き、母さんの墓に花を供える。そして祈った。母さんが無事に天国に行って幸せに過ごせるように。野を飾る花や、夜の暗闇を照らす星からこれからの俺を見守ってくれるようにと。悲しいがいつまでも悲しんではいられない。残された者は、居なくなった者の分まで背負ってこれから生きていかなくてはならないのだから。
「すいません、僕の我儘に付き合ってもらっちゃって。母さんとの別れは済ませました。次は父さんの元に行きたいのですが、今は詰所ですかね?それとも街の巡回中でしょうか?」
振り返ってそうガイセルさんに問いかけた。その問い掛けを受けたガイセルさんの表情はとても冴えないものだった。
「…すまないブルー、…俺はお前に一つ嘘をついていた。」
「…え?」
「隊長は、もう隊長じゃないんだ。ガイアさんはあの襲撃の後、部隊を辞めた。ミーシャさんの死がよほど堪えたんだろう。しばらく一人にしてくれと言われたから俺も最近会ってない。だが、多分今もここにいると思うよ。」
そう言って彼は紙切れを一つ手渡してきた。四つ折りにされた紙を開くと、中には住所が書かれていた。場所は、父さんと母さんが老後にのんびり過ごそうと購入していた街から少し離れた所にある別荘だ。
「あの人に会いに行くのなら一つだけ…。あまり、驚かないようにな。」
そういう彼の表情はずっと冴えないままだった。
「それじゃあ俺はそろそろ詰所に戻らないと。遅くなったがブルー、退院おめでとう。」
その言葉を最後に彼とは分かれた。少しの間をおいて、重い足取りで俺は歩き出した。(あの責任感の塊のような父さんが自分の責務を投げ出すだなんて…それにあまり驚かないようにって、いったいどういう意味が。)頭の中でそんなことを考えながら歩いた。大通りを右、街の端の酒場の門を曲がって、坂道を少し登った所にある一軒家。小さい頃に一度訪れたことのあるその家は手入れはされておらず、壁に蔓は這い、庭は荒れ、外から見る限りでは人が住んでいるとは思えなかった。カーテンは閉め切られており、中の様子を伺うことは出来ない。自分の記憶にあるものとは大きくかけ離れた家がそこに鎮座していた。本当にここに父さんがいるのか、そんなことを思いながら俺はドアノブに手をかける。不用心な事に鍵はかかっていなかった。ギィという音を立てドアを開く。暗がりの部屋に一筋の光が指し、換気などされていなかったのか部屋の中の空気が我先にと開いた玄関ドアから抜けていく。その瞬間、思わず鼻をつまんでしまうほどの強烈なアルコールの臭いが俺の鼻を襲った。嗅いだことのない悪臭に数歩後ずさる。意を決して部屋の中に足を踏み入れた。部屋に踏み入った瞬間、足に何かが当たる。目線を下げ視界に映ったのは、床に大量に転がった酒瓶。見ると部屋全体にそれは転がっている。キッチンの方に目をやると、いつから洗っていないのか分からない食器が山のように積まれている。
「……誰だ?」
そんな光景に啞然としていると後ろのテーブルから掠れた声がする。声のする方へと振り返る。先程見たときにはテーブル上に並んでる酒瓶の影となって気づかなかったが、机に突っ伏した状態の男がゆっくりと体を起こした。整えられていないボサボサの髪に無精ひげをぼうぼうと生やし、目の下には大きな隈をつくり、普段からそんな状態で寝ているからか背中が少し丸くした男が視線をこちらに向ける。
「…ブルーか?」
「…、…父…さん?」
それが自身の父親、ガイア•リオスであると理解するのに少しの時間を要した。もし事前に父さんがここにいることを知らなければ、今目の前にいるこの清潔感のかけらも感じられない男が自身の父親であると気が付くことはなかったのではと思えるほど、俺が知る父親とはかけ離れた姿だった。
「何で…、一体どうしたの?母さんが死んで、俺が入院してる間一体何をしていたの?」
思わずそんな問いを彼に投げかけていた。俺のその問いに彼は何も答えず、しばらくの静寂ののち、
「…ついてこい。」
と言い放って家の奥へと歩いて行った。
奥へと歩いていった父さんの後を追って俺も家の奥へと入ると、地下へと続く梯子があった。この家にあるもしもの時のための地下シェルターへと続く梯子。俺も入るのは初めてだった。梯子を降りるとそこには、およそ25㎡程の空間が広がっており、父さんが四つ角に置かれているランタンに火を灯していた。
「ブルー。」
全てのランタンに火を灯し終えた父さんが、冷たい声色で俺の名前を呼んだ。そして一方の壁に掛けられている木剣を二本手に取り、そのうちの一本をこちらに放り投げる。
「…。…ブルー。お前は前に強くなるにはどうしたらいいかと訊いたな。あれの答えを覚えているか?」
あまりにも唐突なその問いかけに一瞬動揺したが、ひとまず落ち着いてその答えを返す。
「どれだけその武術のことを考え、どれだけ鍛錬を積めるかが大事で、だからこそ経験を積んだ強者の一撃は重いんだ。だから強くなるには、少しずつでも積み重ねる事が大切だって。」
「そうだ…。なら何故逃げずにあの蛮族と戦った?」
「…だって、あいつは武器の手入れもしていなかったし、武術も使えるようには見えなかったから…。それに、父さんの稽古でも一本取れるようになってたし…」
「俺がまだ幼いお前に本気で稽古をつけていたと本気で思っているのか?お前はお前が積み上げたほんの数年と数か月のちっぽけな経験で、あの魔物に本当に勝てると思ったのか?」
父さんは冷たい目つきを俺に向けてそう言い放った。その眼の奥には、怒りの感情がこもっているように俺は感じた。
「お前は俺の息子だ!もっとうまくできたはずだ!」
父さんの言葉に俺は何も言えず、沈黙が流れる。
「…、まあいい。敵を見定めて逃げることを教えていなかった俺に責任がある。本当はお前が大きく、強く育つまでは俺が守ってやればいいと思っていたんだが、それじゃだめだとわかった。だからお前には一刻も早く強くなってもらわないといけない。だからブルー。」
「…剣をとれ…」
そうして、父さんの地獄のような訓練が始まった。
第5章 「逃避」
25㎡程の地下室に聴き慣れない怒声が響き渡る。
「攻撃を剣で受けようとするな!!受け流せる攻撃にも限度がある!お前も身に沁みているだろっ!!」
「攻撃は避けろ!受け流すのはそれが出来ないときに使え!!」
「武器や防具は攻撃を防ぐものじゃない!あくまで受けたダメージを緩和するものだ!!何度も言わせるな!!!」
そう怒鳴りながら、何度も剣を振り下ろす。子供の自分とは二回り以上体格の大きい大人の本気の一振りに体は強張り、思わず手に持つ木剣で受けてしまう。頭ではわかっていつもりだ。だが体がどうしても動いてしまう。大人の一振りをまともに受けて子供の体は怯み仰け反る。そして空いた脇腹に容赦なく父は切り返しの一太刀を叩き込む。途端襲い来る鈍い痛み。吐き気。
「だから言っただろ!何度も言わせるんじゃない!早く立て!剣を取れ!強くなれ!生きたいなら!」
蹲る俺に父はそう怒鳴りつける。そしてまた剣を振りかぶる。その瞬間、俺の脳裏に刻まれたあいつと姿が被った。俺から家族を奪っていったあいつと。
その時から俺にとって父は憧れなんかではなく、恐怖の対象になった。
そんな毎日が続いた。怒鳴られ。殴られ。吐いて、泣く。そんな地獄のような日が。
父はというと、俺に稽古をつけ夜になると俺を置いて地下室を後にし、酒に溺れていた。まるで何かから逃れるように酒を飲み、急に叫び暴れ出したと思ったら、次の瞬間には啜り泣く。俺はそんな父の姿を見たくなかった。だから俺は地下室に閉じこもったんだ。
そんな日々をどれだけ繰り返しただろうか。床に蹲りそんなことばかり考える。
何度怒鳴られ、何度殴られただろうか。最後にまともに陽の光を浴びたのはいつだっだろうか。最後に、食べたものをまともに消化して吸収したと感じたのはいつだっただろうか。最後に、父に褒めてもらったのは一体いつだったろうか。
最後に、父に名前を呼ばれたのはいつだったろうか。
……。
………。
…限界だ。
次の日の夕方、父が酒の買い足しに街へと向かった。父が家を出たのを扉が閉まる音で確認する。そして俺は、ナイフや少ししかなかった食料を適当な布袋に乱雑に詰めて家から逃げ出した。痛む体を無視して、ひたすらに森に向かって走った。鼻から息を吸う。アルコールと汗と吐瀉物、少しの血の匂い
が混ざりあった臭いを吸い続け、機能しなくなった嗅覚が途端に息を吹き返す。鼻から感じる新鮮な空気と、草木の香り。体中に酸素が行き渡る感覚が、自分は生きているのだと教えてくれた。体中が痛い。だがそれ以上に今この瞬間が心地よかった。
しばらくすると沈みかかっていた夕日は完全に顔を隠し、暗闇とそれを照らす星の光が訪れる。
そして気付く。暗闇の中から、一匹の白い何かが飛び出してきた。目の前に現れたのは、兎。自分の中の獣としての本能が、それを食料だと認識するのに然程時間は掛からなかった。布袋からナイフを手に取る。息を殺し、ゆっくりと近付き、その小さな首元にナイフを刺した。兎はじたばたと暴れるが、すぐに生き物として活動を終える。(ごめんよ…)自分が奪った命を手にそんなことを思う。仕留めた兎を片手にしばらく歩くと小さな洞窟を見つけた。中に入り、昔にキャンプで教えて貰った記憶を朧気に思い出しながら手間取りつつも何とか火を付ける。先程捕らえた兎肉に火を通す。丸焼きにされた兎を前に、俺の空腹は限界を迎え本能のままに貪った。ろくな下処理なんてしていない。見る人によっては料理とも呼べないような出来栄えだが、俺にとっては久しぶりの温かい食事だった。忘れかけていた今食べたものが消化され吸収される感覚。やはり人の心を満たすのは温かい食事なのだと改めて実感した。
(…シチュー、また食べたいな。)
そんなことを思いながら、腹が満たされたことにより訪れた空腹に抗うことは出来ず、その日は気付けば眠ってしまった。
朝、肌寒さを感じ目を覚ます。焚火の火は眠っている間に消えていた。洞窟の入口から空を見上げると、空は機嫌の悪そうな顔でこちらを見下ろしている。雨が振り始める前に少しでも移動しようと、俺は家から持ってきた乾燥しきったパンを齧りながら洞窟を後にした。しばらく歩くと自分の肌にぽつりと冷たい雫が当たり、予想より早く雨が降り出した。始めは小降りだった雨も次第に強くなる。俺は走った。昨日のような洞窟を探して。だが俺が目にしたのは全く別のものだった。
第6章 「暗闇の中の光」
降り続く雨の中必死に走っていた俺はふと気づいた。雨の音の中に、何者かの話す声がする。言葉と言うことはわかるが、その話している言語が何かわからないそれは、俺の周りを囲むように聞こえてくる。視線を感じる。そして、そいつ等と目があった。そこに居たのは数体の蛮族。赤い目に緑の荒れた肌、鋭い爪が伸びた手にはナイフのような物が握られているそいつ等は、俺が自分達の存在に気が付いたのを見てにたりと笑う。そしてもう隠れる必要は無いと言わんばかりに姿を現し、こちらに近付いてくる。俺の脳裏に浮かんだのは、俺から家族を奪ったあの蛮族の姿。背恰好も手にしている武器も違うが、あの時のにたりと笑った顔が目の前の蛮族と被り、体が恐怖で包まれる。
俺は逃げ出した。
蛮族共に背を向け、自身の持てる力を全て使って走った。肺が痛くなっても、木の枝で手足や顔が切りつけられても俺は走った。そんな俺の姿を、無様だと嘲笑うかのように笑いながら追いかけてくる。持っていた荷物はどこかで落としたようで気づけば無くなっていた。ただひたすらに走り、森を抜けた俺の目の前に割れた地面が現れた。対岸まで5m以上あり、崖下を見ると雨によって水位の増した川が険しい流れを束ねている。後ろを振り返ると蛮族たちはすでに追いついており、じりじりと歩み寄ってくる。一歩、また一歩と後ずさる。ついには崖端まで追いやられ、半分やけに戦おうと腰のナイフに手をかけた。
その瞬間だった。ガクッ。突如支えを失ったような浮遊感が俺を襲った。つい今まで蛮族共を捉えていた視界は、俺の意志とは関係なく徐々に雨空へと移っていく。思考が止まる。状況を理解し再び思考が動き出した時には、俺の体は落下を始めていた。慌てて手を伸ばす。だがその手が崖を掴むことは無く、崖下の川へと落ちた。雨で水位を増した川はまるで未知の生き物ようにまとわりつき、ただの子供の力では抗うことも出来ず、左右上下と揺さぶられながら流されていく。息を吸っても入ってくるのは空気ではなく水。酸素不足により視界が少しづつ暗くなっていき、冷たい水により体から熱が奪われていく。遠くで誰かが俺の名前を呼んだ気がしたが、体に力は入らず視界も黒に塗り潰され、意識は暗い水底に沈んでいった。
黒一色の世界をしばらく浮遊していた。これが死後の世界なのか、なんて馬鹿みたいなことを考えながら浮いていると、そんな黒の世界を破るように遠くから白い光が見えた。それに気が付いた瞬間、今までふよふよと浮いているだけだった世界が、その光に吸い込まれた。
目が覚めたときには俺は見知らぬベッドで眠っていた。半分温かい泥の中に浸かっているような意識を引きずり出し、寝起きの頭で考えた。ここはどこなのか、崖から落ち川に落ちたあの後どうなったのかを必死に考えるが答えは出てこない。一旦考えるのをやめ、情報を求めるように体を起こした。まだ意識と肉体が上手く繋がっていないのか動きが悪い体を無理やり目覚めさせて立ち上がる。俺が目覚めたのは何の変哲もない部屋。どうやら今は夜なのか部屋は全体的に暗く、窓から入る月の光でうっすら見渡すことができた。部屋に一つあるドアの向こうから人のいる気配がした。ふらふらとよろつきながらドアに近付きドアノブに手を掛ける。ドアはきぃと小さい音を立ていとも簡単に開いた。ドアの先にあったのはどうやらキッチンダイニングのようで、暖炉とキッチン、テーブルと食器棚と必要最低限の物を買い揃えているだけという印象だった。
「目が覚めたか」
暖炉の前の椅子に座っていた初老の男性が俺の存在に気付き、そう声を掛けた。
「目が覚めたのならとりあえずこれを飲むと良い。寝起きにはやはり人肌程のぬるま湯が一番効く。」
彼は立ち上がってキッチンのやかんからコップにお湯を注ぎ、俺に手渡してきた。その時、自分の体が激しく水分を求めていることに気が付いた。彼の手からコップを受け取り、一気に飲み干す。喉は潤い、体の内側からぽかぽかと、まるで湯船に浸かっているような優しい温かさに包まれる。ただのお湯がこんなに美味しく感じたのは生まれて初めてだった。
「あなたが、僕を助けてくれたんですか?」
ほっと一息つき目の前の身長160cm程の小柄な男性にそう質問を投げかけた。
「…、いや、私はただお前を懐抱しただけだ。
助けてもらった礼を言うなら、お前の親父さんに言うと良い。」
一瞬心臓が止まった気がした。恐くなって逃げてきたのにもう追い付かれたのか。逃げたことをきっと父は怒るだろうと、そう思ったから。
「…は、父さんは今何処に?」
俺がそう聞くと、男は少し言いづらそうな顔をして、一言「ついて来い」と答えた。
男が向かったのは、自分が先程目を覚ました部屋とはまた別の部屋。男がドアノブに手をかけ、ゆっくりドアを開ける。部屋の中は明かりが付いていないのか暗く中の様子はよく見えず、開けたドアから入る光でようやく、部屋の奥のベッドに誰かが眠ってるということが分かった。男はベッド脇の机の上のランプに光を灯す。それでようやくはっきり、そのベッドに寝ているのが誰なのか見えた。上向きに寝て腰の位置まで布団が掛けられており、顔には白い布が被せられていたが、生えた耳と背恰好でそれが自分の父親ガイアの亡骸であることが理解できてしまった。
「彼が村に着いた時にはもう手遅れの状態だった。蛮族に襲われたときに受けた傷から毒が全身に回って、俺の家で懐抱していたんだが今朝亡くなられたよ。残念ながらこの村には彼の毒を治す薬も、蘇生を行えるプリーストも居ない。このままだと穢れが溜まって蛮族になってしまうから、明日彼の葬儀を行う。お別れをするのなら今のうちだ。」
男がそう話している間に寝ている父の手に触れる。手のひらから伝わる冷たさと固い感触。
「これは彼がお前宛にと書いたものだ。」
男はそう言って、机の上に一つの封筒を置いた。そして「別れが済んだらキッチンにおいで。」と一言告げ部屋を後にした。部屋に残されたのは、俺と父の亡骸。手紙。
状況を理解するのにしばらく時間が掛かった。何か救いを求めるように俺は手紙に手を伸ばした。
第7章 「新たな覚悟」
封のされていない手紙を開け、書かれている文字に目を向ける。震えるような力ない文字ではあったがその字を俺は知っている。それは紛れもなく父の字だった。
”おはようブルー。
こんな形でお前と別れることになってしまうことを許してくれ。
お前には父親らしくない醜い姿を見せてしまった。母さんが死んでしまって、俺は自分の無力さを思い知ってしまったんだ。お前にあんな酷い仕打ちをしてしまったのも俺がお前を守ってやれる自信がなかったからなんだ。本当はお前が大きく育ってくれればそれだけで良かったのに。俺はお前まで失うのが酷く怖かった。
許してくれだなんて言わない。だが謝らせてくれ。すまなかった。弱い父さんでごめんな。こんな大人にはならないでくれ。
俺と母さんの間に生まれてきてくれて本当にありがとう。家族3人で暮らした日々は俺にとって何にも変えられない宝物だ。
ブルー、大きく強く育ってくれ。傲慢かもしれないがこれがたった一つ俺の望みだ。
愛しているよブルー。
俺の誇りで、自慢の息子よ。
ガイア•リオス”
父からの手紙にはこう書かれていた。
「…、なんだよそれ。」
「ごめんってなんだよ…そんなのは直接言う言葉だろ。」
「なぁ、目を覚ましてくれよ。昔みたいに俺について来いって…そう…言ってくれよ。」
「なぁ!」
「あんた父親だろ!!」
「父親なら…最後まで自分の子供を導いてくれよ…。」
漏れ出るように口から出た言葉は次第に怒りを露わにして、悲しみに萎んでいく。自分の頬を熱いものが流れていくのがわかる。それは一つ二つと冷たい父の手に落ちる。しかしその涙が、彼の肉体に再び温度を与えることは出来なかった。
どれくらい泣いていただろうか。さっき飲んだお湯すらも全て、涙として流してしまったような錯覚すらする。
「…父さん。俺、強くなるよ。あんたみたいに強くなる。だから自分みたいになるななんて悲しいこと言わないでくれ。最後はあんなだったけど、俺にとってもあんたは自慢の父親なんだよ。だからさ父さん、見ていてくれ。今まで、ありがとう。」
そう言葉を投げかけ、握っていた手をそっと元の位置に戻した。
部屋を出ると男はキッチンに立っていた。
「別れは済んだか?」
男は目線を落としたまま、短くそう聞いた。
「…えぇ、ありがとうございました。」
「そうか。お前はこれからどうするんだ?」
男のその問いに、俺は少し考えて
「…そうですね。あの、お願いがあるのですが。」
「なんだ?」
覚悟を決めるように、口の中の唾液を飲み込む。
「僕は、強くなりたいんです!だから、僕を弟子にしてください!」
男は俺のその言葉を聞き、鍋をかき混ぜていた手を止めて、こちらに顔をむける。
「なぜ、こんな老いぼれにそんなことを頼むんだ?」
当然の問いかけだ。俺は目の前の男が戦っている姿など見たことはないのだから。だが、わかることはある。
「父に教えてもらったんです。本当に強い人っていうのは、その立ち方や纏うオーラからして違うって。武術を少しかじっただけでの僕でもわかります。貴方が普通の人とは違うって。それに、そこに置いてある片手斧。使い古されてますが、隅々まで手入れが行き届いている。それだけでも、貴方が歴戦の強者だとわかります。だから、どうかお願いします!」
そう言って、俺は頭を下げる。男は顎に手を当てて少し考えた後、ため息をついた。
「…はあ。分かった。いいだろう。実を言うとお前の親父さんにもお前のことを頼まれていたんだ。自分の代りにお前を鍛えてくれないかとな。まあ、弟子は取らないつもりでいたから私から言うつもりはなかったんだが。」
男はそういうと、再び鍋の中を混ぜ始めた。
「ありがとうございます!」
正直不安だったから、男からの了承を聞いた瞬間すごく安堵した。
「ならとりあえず、そこのテーブルで待っていろ。」
促されるまま、俺はリビングのテーブルの椅子を引き腰掛ける。しばらくすると、男はトレイをもってキッチンから歩いてくる。
「自己紹介が遅れたな。私の名はダイダル。この村で門番をやっている。」
そう言って手に持っていたトレイをテーブルの上に置いた。目の前に置かれたのは、大盛りの器に盛りつけられたシチューと大きく切られたパン。
「ダイダルさん、これからよろしくお願いします。僕はブルータル・リオスって言います。家族や友人からはブルーって呼ばれてました。」
「そうか。ならブルータル、まずは飯を食え。そのやせ細った体では、何をしようと大した結果は得られん。とりあえず今日は休め。稽古は明日から始める。」
男に言われるまま、俺は目の前の食事に手をつける。よく煮込まれた白くとろみのある汁の中に、一口大に切られた色とりどりの野菜や肉が沈んでいる。シチューをひと掬いし、震える唇の間に差し込む。口全体に広がる肉と野菜から出た出汁とミルクの風味。よく煮込まれた肉は柔らかく、歯を使わずとも簡単にほぐれ、野菜からは優しい甘みが感じられる。そんなシチューはパンととても相性が良い。大好きだった母のシチューを思い出し、大粒の涙を流しながらも、俺の手は食べ終わるまで止まることなかった。
「部屋はお前が寝ていた部屋を使うと良い。今夜は遅いから私はもう寝る。」
そう言ってダイダルさんは自室であろう部屋のドアを開ける。
「あの!ありがとうございました!」
「礼を言うのはまだ早い。言っておくが私の稽古は優しくないぞ。」
ガチャっとドアが閉まる。俺も食べたあとの食器を片付けて部屋に戻ると、満腹による眠気により倒れるように眠った。
第8章
次の日、父の葬儀をした。蛮族にならないように。無事に母のもとへと行けるように。父のお墓は、見晴らしのいい丘の上に作った。
家に戻るとダイダルさんはサッと身支度を済ませて、「じゃあ、行くぞ。」と玄関のドアを開ける。てっきりそのまま稽古を行うと思っていた俺はどこに行くんですか?と訊いた。
「昨日言っただろ。村の門番をしているって。お前の稽古は門番の仕事をしながらやる。当然お前にも俺の仕事を手伝ってもらうからな。」
こうして俺の、弟子としてまた村の門番としての生活が始まった。
「俺は戦闘の基本はまず相手の攻撃を食らわないことだと思っている。ここ数日お前の力量を見てきたが、お前はどうも武器に頼りすぎてしまうようだ。確かに受け流しはできたほうがいいに越したことはないが、初めからそれにそれに頼りすぎていては基礎ができていないからすぐに頭打ちになる。いいか、武器や防具はあくまでも避け切れなかったときに自身のダメージを減らすためのものだ。戦闘というのはどれだけ消耗を減らすことができるかが大事になってくる。特に敵が強くなればなるほどな。」
「まずは相手をよく見て、攻撃をよけることを身に着けろ。と、何度言っても治らないところを見るに体にこびりついてしまっているんだろう。こうなったら直すのは難しい。だからブルータル、お前は剣を持つな。」
冷静な顔つきでダイダルさんは俺から木剣を取り上げた。
「それだと、攻撃する手段はどうすれば。」
「グラップラーという技能職がある。自身の体を使って、殴ったり蹴ったりを主な攻撃手段とするものだ。身軽で素早い動きがうりで、身体能力は高いお前にはそっちのほうが合っていると俺は思う。」
父に憧れて、剣術を学んできた俺にとってそれは少し複雑な気持ちだった。
「不満か?だったら無理にとは言わない。」
気持ちが顔に出てしまっていたのだろう。ダイダルさんはそう言ってくれたが、俺は強くなりたい。その為には、不満を口にしている余裕はない。そう自分に言い聞かせる。
「いえ、大丈夫です!強くなれるなら、やらせてください!」
「そうか、なら無駄にはならなかったな。来てくれ!」
そう言って誰かを呼んだ。現れたのは、170㎝程の筋肉質の女性。この村で食堂を営んでおり、料理が出来ないダイダルさんの代わりに食事を作りに来てくれているディシアさんだった。
「すまないな。食堂の仕事もあるのに来てもらって。」
「いいさ、ダイダルさんには長い間この村を守ってもらってるし。こっちも少し体が鈍ってきちまったのを動かしたかったところさ!」
「ブルータル、すまないが俺はファイターの戦い方しか知らん。だが、こっちのディシアさんは数年前まではグラップラーの冒険者として旅をしていた実力者でな。グラップラーの戦い方は彼女に教わるといい。」
ディシアさんはこちらに歩み寄り、力強く俺に背中を叩く。
「てことだからさ!これからよろしくね!」
「よ、よろしくお願いします。でも大丈夫なんですか?食堂を空けてしまって。それにもうすぐに際になる娘さんもいるんじゃ。」
「あぁ!だから教えられるのは限られてるけど、その間店と娘はうちの旦那に任せてあるから大丈夫さ!さ、時間が惜しい。すぐ始めるよ!」
ディシアさんとのグラップラーの修行が始まった。
「まずはあんたがどこまでできるか見ていたい。自分の思うままでいいから一度構えてパンチを出してみな!」
そういわれても、グラップラーの知識なんてほとんどない。だが、昔父に教えてもらったことがあるのを思い出した。確か、武器がない状態で戦闘になってしまった時の戦い方で一度だけ教わった。自分の頭の中の引き出しを開けながら、あの時の記憶を探す。
(確か、両足は肩幅に開いて膝は軽く曲げる。体は、前からの被弾面積を減らすために背中を丸めるイメージ。こぶしは握りこまず軽く握るくらいで、それを顎を守るように顔の前に持って来て脇は閉める。)
(あとは脇を開かず、腰の回転を使ってこぶしを前に出しインパクトの瞬間にこぶしに力を籠める。)
一つずつ確かめるように思い出しながら、こぶしを前に突き出した。自分でも驚くくらいにその動きが体に馴染んだ。
「おぉ!いいじゃないか!軽く武術はかじってるって予め聞いていたけど、ここまでだとは思わなかったよ!あんたを鍛えてくれた人は優秀だったんだろうね!ただ今のだと体を上手く使えていないから、如何せん重みが足りない。お手本を見せるからよく見てるといい。」
そう言うと彼女はさっきの俺と同じ構えをした後、こぶしを前に突き出す。但し、先程の俺のとは違いその威力の違いは見るからに明らかだった。コンパクトな振りなのにこぶしが風を切る音がする。
「ざっとこんな感じさ!手や腰だけでなく、体の全ての関節のひねりをこぶしに伝えるんだ。こればっかりは反復練習で体に叩き込むしかない。毎日素振りして頑張りな!大丈夫!私も見てやるから!」
こうして俺はグラップラーとしての道を歩み始めた。
それから約五年が経った。グラップラーという技能職は俺が思っていた以上に俺と相性が良かったらしい。こぶしを振る動作が体に染みつくと、相手を見る余裕が生まれ、相手の攻撃の軌道が見えるようになってきた。ダイダルさんからも基礎が出来上がってきたなとほめてもらえる程に俺は成長した。成長期を迎えた俺の体はどんどん大きくなりダイダルさんを優に超え、ディシアさんに並ぶくらいにまで成長した。そんな五度目の俺がダイダルさんに弟子入りした日を迎え、俺は晩御飯の際にダイダルさんに一つお願いをした。
「なぁダイダルさん。一つお願いがあるんだ。」
「なんだ?」
「ダイダルさんのこと、親父って読んじゃダメか?」
「何故だ?」
「だって、ここまで俺を育ててくれて、俺にとっちゃダイダルさんがもう一人の父親みたいなもんなんだ。だから、どうかなと。」
「…好きにしろ。」
言葉では素っ気なかったがどこか親父の雰囲気が柔らかくなった気がした。最近どんどん細くなってきているが、俺にとっちゃもう一人の憧れの人だ。
そんなことがあり、俺は24歳になったある日。数年前のそんな懐かしい日のことを夢に見ていると、誰かに名前を呼ばれた気がして目を覚ました。
「あっ!やっと起きた。寝坊するよ。もう朝ごはんは出来てるから。」
そう俺を起こしに来てくれていたのは、ディシアさんの一人娘のレイだ。ここ数年はディシアさんの代わりに家にご飯を作りに来てくれている。
「ああ、いつも助かってるよ。ありがとう。」
「もうどうせ昨日夜遅くまで本読んでたんでしょ。頼むよ門番さん。私はお店の手伝いがあるからもう行くけどちゃんと起きるんだよ。」
彼女はそう言い残して部屋を後にした。昔は俺に良く懐いてくれて一緒に遊んだりしていたが、最近は少し素っ気なく感じる事が多くなった。彼女ももう成人を迎えた大人の女性だ。昔の子供のころと比べてはいけないな。そんなことを思いながらベットから体を持ち上げる。
レイが作ってくれた朝食を器によそい、トレイに乗せて親父の部屋へと運ぶ。
「親父起きてるか?」
扉をノックし俺がそう聞くと、扉の向こうからか細くあぁという返事を確認し部屋に入る。ベットから上半身だけを起こし、窓の外を眺めている親父の姿があった。出会った時から瘦せていたが、数年で年のせいか更に細くなったように感じる。足腰も弱り、最近では朝食を親父の部屋にもっていくのが俺の一日の始まりになっていた。
「飯持ってきたからここに置いとくな。」
「あぁ、ありがとう。…ブルータル、少し話をしないか?」
机の上に朝食を置いて、部屋を出ようとした俺に親父はそう言って引き留めた。正直驚いた。普段自分の話は一切と言っていいほど話さない人だったから、そんな親父が急に話をしようなんて。
「なんだよ改まって、まあいいぜ。なんだよ話って。」
俺は机の椅子をベットの脇に寄せて腰掛ける。
「まあ、そうだな。ブルータル、お前は私がいなくなった後はどうするんだ?」
「どうするって、やけに急な話だな。まあ、今は特にやりたいこともないから、今の門番の仕事を続けるつもりではいるけど。この村の」
俺の返答に親父はそうかと短く答え、暫く沈黙が流れる。
「…。ブルータル、冒険者に興味はあるか?」
「?冒険者か?ああ親父やディシアさんが昔やってたっていう。まあ、興味があるかないかで言われるとあるっちゃあるけど。」
「そうか、お前がもしもっと強くなりたいと思うのなら、冒険者を目指したほうがいいだろう。村の門番だけではどうしても限界がきてしまうから。」
「
セッション履歴
| No. | 日付 | タイトル | 経験点 | ガメル | 名誉点 | 成長 | GM | 参加者 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| キャラクター作成 | 3,000| 1,200 |
0 |
|
|
| | ||
| 1 | 6/1 | 導入 | 1,250| 605 |
9 | 敏捷 | 敏捷 アシュレット
|
| |
| 2 | 6/2 | 第2話 | 1,710| 1,117 |
13 | 敏捷 | 筋力 アシュレット
|
| |
| 3 | 8/4 | 第3話 | 1,520| 1,573 |
8 | 筋力 | 敏捷 アシュレット
|
| |
| 4 | 9/3 | 指差す巨人 | 1,330| 2,188 |
8 | 精神 | 器用 カジ
|
| |
| 5 | 11/15 | Lost Dog | 2,495| 2,210 |
6 | 器用 | 敏捷 饅頭
|
| |
| 6 | 12/7 | 俺は森の運搬屋 | 3,210| 5,400 |
35 | 敏捷 | 器用 精神 アシュレット
|
| |
| 取得総計 | 14,515 | 14,293 | 79 | 13 | ||||
収支履歴
アイアンボックス::-230
ハードレザー::-340
冒険者セット::-100
着替えセット::-10
Tシャツ::-10
ズボン::-10
ベルト::-10
ジャケット::-30
下着::-3
ブーツ::-20
ピアス::-8
チョーカー::-10
食器セット::-12
アイアンボックス売却::+115
チェインスティック::-630
俊足の指輪::-500
宗匠の腕輪::-1000
レイパー収入::+30
生活費::-10
保存食(7日)::-80
剛力の指輪::-500
カーペンター収入::60
保存食(7日)::-80
レイバー収入::60
保存食(7日)::-80
薬師道具セット::-50
海の家::-35
アイアンボックス(魔法の武器)::-5230
レイバー収入::+90
保存食(7日)::-80
マテリアルカード赤B10枚::-200
マテリアルカード赤A3枚::-600