ゆとシートⅡ for SW2.5 - ゆと工公式鯖

メルガム - ゆとシートⅡ for SW2.5 - ゆと工公式鯖

剛鎚破骨ごうずいはこつメルガム

プレイヤー:のっちー

種族
ルーンフォーク
年齢
製造から8年
性別
種族特徴
[暗視][HP変換]
生まれ
戦舞士
信仰
“貨幣神”ガメル
ランク
穢れ
10
11
5
5
6
8
8
7
4
成長
3
成長
1
成長
2
成長
1
成長
0
成長
6
器用度
18
敏捷度
17
筋力
21
生命力
20
知力
12
精神力
15
増強
2
増強
1
増強
1
増強
増強
増強
器用度
3
敏捷度
3
筋力
3
生命力
3
知力
2
精神力
2
生命抵抗
11
精神抵抗
10
HP
44
MP
18
冒険者レベル
8

経験点

使用
26,000
残り
200
総計
26,200

技能

バトルダンサー
8
レンジャー
5
エンハンサー
3
マギテック
1
アルケミスト
1

戦闘特技

  • 《斬り返しⅡ》
  • 《武器習熟A/ウォーハンマー》
  • 《薙ぎ払いⅠ》
  • 《変幻自在Ⅰ》
  • 《必殺攻撃Ⅰ》
  • 《舞い流し》
  • 《サバイバビリティ》

練技

  • [補]【キャッツアイ】
  • [補]【マッスルベアー】
  • [補][準]【ガゼルフット】

賦術

  • [補]【クリティカルレイ】

判定パッケージ

レンジャー技能レベル5 技巧 8
運動 8
観察 7
アルケミスト技能レベル1 知識 3
魔物知識
0
先制力
0
制限移動
3 m
移動力
18 m
全力移動
54 m

言語

会話読文
交易共通語
魔動機文明語

魔法/賦術

魔力行使/賦術
基準値
ダメージ
上昇効果
専用
マギテック技能レベル1 魔動機術 3 3 +0
アルケミスト技能レベル1 賦術 3
技能・特技 必筋
上限
命中力 C値 追加D
バトルダンサー技能レベル8 22 11 11
《武器習熟A/ウォーハンマー》 1
武器 用法 必筋 命中力 威力 C値 追加D 備考
〈ベグ・ド・コルバン〉 振2H 20 -1=10 40 10 12
〈ベグ・ド・コルバン〉 突2H 20 -2=9 45 10 12
技能・特技 必筋
上限
回避力 防護点
バトルダンサー技能レベル8 22 11
防具 必筋 回避力 防護点 備考
ポイントガード 1 +1 0
合計:バトルダンサー/すべての防具・効果 12 0
装飾品 効果
スマルティエのヘッドバンド HP回復効果を受けた時にMPが1回復 ただし一日冒険者レベル点まで
不敵の仮面 HP0以下から1以上への回復時、HPが追加で10点回復する
マギスフィア小 魔動機術使えるよ!
背中 セービングマント 回避や抵抗の失敗時に魔法ダメージ-4
右手 スマルティエの筋力増強の指輪 筋力+1
左手 能力増強の指輪 好きな能力+1 俊敏
アルケミーキット アルケミスト技能使えるぞ!
立ち寝のレギンス 睡眠や気絶で転倒しなくなる
宗匠の腕輪 器用+2
所持金
854 G
預金/借金
G

所持品

冒険者セット 1
ヒーリングポーション 1
E2FF7A
救命草x4
アルケミーキット
ポイントガード
ベグ・ド・コルバン
スマルティエの筋力増強の指輪
能力増強の指輪
宗匠の腕輪
月光の魔符x2
薬師道具セット
受益者のシンボル
セービングマント
立ち寝のレギンス
不敵の仮面
アビスシャードx2
スマルティエのヘッドバンド
魔香草x10

マテリアルカード

BASSS
1915
名誉点
316
ランク

名誉アイテム

点数

容姿・経歴・その他メモ

許嫁がいた(いる)
異種族の友人がいる
監禁されたことがある
破産した

ロッセリーニの魔法印を描き足した!!

履歴

_人人人人人人人人人人人人人人_
> これだけ読めばわかる   <
> ~ざっくりメルガム経歴~ <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
生まれる→真面目に戦闘訓練して外の世界へ出る→道行く途中で偶々であったコモンと仲良くなる→コモンがメルガム大好きになって急接近→頭のいいコモンはメルガムと結婚するために誘導作戦を練る→人との付き合いが少ないメルガムの習性を利用して「友達」というワードを使って強引に話を進める→無事許嫁となる→コモンはメルガムが壊れてしまわないように監禁→資金が底をつきそうで、コモンが無理して働く→壊れてしまいそうなのはコモンの方だから、今度はメルガムが何とかする番

前置き

「友達」、私が一番理解できない言葉だ。
「友達」は一般的には苦楽を共にし、絆を深め、互いを助け合うような関係の事を言うらしい。誰に聞いてもこのような回答が返ってくるだろう。
でも私が実際に作った「友達」はそれと似ているようでどこか違う関係にあった。他の「友達」同士の関係性を見ているとそう思う。
私の「友達」はきっと特別なんだろう。どんな「友達」よりも近く、深く、そして理解しているのが私の「友達」だ。
しかしこれまで出会って来た様々な人達を見てくると、果たして私の「友達」が本当に「友達」と言えるのか怪しくなってきた。
どの「友達」の関係も私と「友達」との関係と似ていない。「友達」、それは教えられたような関係性の「友達」もあれば、いがみ合っているのに「友達」と言ったり、はたまた会っただけなのに「友達」だったりする。その言葉はあまりにも意味が広く柔軟すぎる。
それだけの柔軟さを持っておきながら、私と「友達」の関係は異常らしい。はたから見るとおかしく、違う関係に分類されるという。
では「友達」とは何だろう。
私はコモンと出会ってからというもの、その考えがいつまでも取れない錆びのように頭の中にこびりついていた。

コモンとの出会い

****
風が吹いている。木々がざわめき、服がなびき、土は地面から巻き上げられて私の視界を悪くしている。
天気が良くなかった。日中なのに雲が分厚いせいか暗く、これから嵐が来そうな雰囲気が漂っている。
私は依頼が終わってその報告をするために帰るところだった。外れの村で小規模な蛮族との小競り合いが起き、その戦いに加勢するという依頼だったのだが、私が到着する前にさすらいの旅人がその戦いを終わらせてしまって、何も出来なかったから帰っている。
わざわざ遠出したというのに何も起きずに帰るのは残念極まりなく、退屈な気持ちを道の小石にぶつけた。どうしようもなく今日の心は曇っている。どうせ報告しても私は何もできていないから通常の報酬金は払われないのだろう。
溜息交じりの呼吸で道を歩いているとぽつぽつと空から水滴が落ちてくる。やっぱり雨が降る前兆だったんだ。
私はこの後大雨になることの予想がついたので、早めに雨をしのげる場所を探そうと走った。
蹴り上げる土が進むごとに湿り気を帯びていき、やがて泥となって服を汚す。雨はとっくに土砂降りで、私は全身びしょ濡れだった。
「はぁ…今回は本当についてないね」
もう急いでもしかたないので、私は濡れないようにすることを諦めて歩き始めた。
すると、今まで走っている音で気づかなかったのか、遠くで何か音がする。それは金属同士のぶつかる音だったり、木が折れる音だったりと穏やかなものではなかった。
何かあったのかと思って、私は音のする方向へ向かう。音が近づくにつれ大きくなり、やがてそこで何が起こっているのかが段々わかってきた。
これは戦闘だ。誰かが恐らく蛮族と戦っている。激しく武器同士を打ち付けるような音と叫び声が鮮明になるにつれ、駆ける足に力が入ってくる。背中からウォーハンマーを取り出し、戦闘態勢を取った。
そうして間もなく、道を外れた林の中で私は音の元を見つけることができた。
やっぱり予想通りだ。蛮族と冒険者のパーティーが戦っている。屈強な戦士2人と後衛の魔法使い1人のパーティーだが、蛮族の方を見ると明らかにそのパーティーよりも数が多かった。
数的不利もあり、冒険者パーティーの方はかなり押されていて、前衛二人の体力も残り少ないように見える。後衛に至ってはまともに魔法を撃てていない。このままだと確実に負けるだろう。
蛮族の攻撃を捌き切れていない前衛が崩れる前に、私は蛮族の後ろから奇襲をかけることとした。今は土砂降り、雨の音は強く、私ひとりの足音に戦闘中の蛮族が気づけるはずがない。
ゆっくりと蛮族側の後衛に近づく。奴らは目の前の弱った獲物に集中していて私の存在を感じ取れていない。
両手に入った力がウォーハンマーを伝い、その鎚の部分に確かな殺気がこもる。蛮族までの距離が3mになった時、私は地面を蹴り上げ一気に蛮族の後ろまで行った。
蛮族は私のその蹴り上げた音に気が付き後ろを振り返ったが、もうその時には鎚が蛮族の体を砕いていた。
「一匹、二匹、三匹…」
奇襲に混乱している間に次々と蛮族たちが薙ぎ払われていく。それまで崩れることがなかったであろう蛮族の陣形は私の奇襲により呆気なく崩壊した。
後衛の肉片を踏みながら、前衛の蛮族の元へ急接近する。流石に後衛を叩き潰すと気づかれたようで、前衛の大きな蛮族はすでに私を迎え撃とうと、武器を構えて待っていた。大きな棍棒を片手で持っているその蛮族の周りには中くらいの蛮族がいて、冒険者パーティーの方の相手をしている。
「お前を倒せば、後は楽勝かな」
後衛はもういない。数的にもこちらのパーティーと同じで状況はほぼイーブンだ。
挟み撃ちの形にもなっているこの状況を苦しく思っているのか、蛮族の表情に余裕はない。唸るような声を出しながら私をにらんでいる。
気分がいい。何も出来ずに帰ることとなった今日が少しでも刺激のある一日になりそうだ。自然と顔から笑みがこぼれる。
お互い何かを窺うようにジリジリと間合いを詰める。見えない円状の線があるかのように、その軌道をなぞりながらゆっくりと歩を進める。
先に仕掛けたのは蛮族の方だった。低い姿勢から急発進し、棍棒を横凪に振って私に襲い掛かる。その動きは巨体から放たれるような速度ではなく、矢のようにまっすぐで鋭い動きだった。普通の冒険者ならこのような動きに一瞬気がとられて、回避することが難しいだろう。
しかし、ルーンフォークである私は普通ではない。蛮族の素早い動きというのは、私にとってコマ送りの映像を見るかのようにゆっくりに見える。
奴の棍棒が私の胴を破壊する前に、私は勢いよく飛び上がってその攻撃を避け、頭上を取る。奴は私の回避を見て、上からの攻撃に対処しようと身を翻し、棍棒で防御の体勢を取った。
だがその方法は誤りだ。私からの攻撃を受けるという事は武器もろとも身を砕いてくださいと言っているようなもの。奴が持っているような粗末な棍棒ごときでは攻撃を受け止めるどころか、威力減衰にもならない。
そんなこともつゆ知らず、蛮族は私の落下にギリギリ間に合うように棍棒を両手に持って防ごうとする。
私は体を回転させながら落下し、全体重と力をハンマーの鎚に乗せる。威力の増したウォーハンマーは棍棒を紙のように破き、そのまま蛮族の脳天を形が分からなくなるほどまでに砕き切った。
頭を失った蛮族はそのまま力なく倒れる。倒れた時の衝撃が地面を揺らし、冒険者パーティーの相手をしていた蛮族にその衝撃が伝わった。奴らはその音と揺れで察したのか、私を見るなり尻尾を巻いて逃げていった。
蛮族はこういうときだけ賢い。力の差があると分かるとこうやってすぐに逃げ出す。ある意味自分の力がどれくらいかを一番わかっていて、無駄死にを避けようとする。
私は蛮族を追って殺すこともできたが、それよりも冒険者パーティーの損傷具合の方が気になったので特に追わなかった。一応故郷では負傷した人間などはなるべく助けるようにと教えられている。蛮族を野放しにしておくのはいただけないが、それよりもこの土砂降りの中でケガをしている人間を放ってはおけない。
私はとりあえず一番傷が少なそうでまともに喋ることができそうな後衛の魔法使いに話を聞くことにした。
雨で若干流されたウォーハンマーの血汚れを振って払いながら近づくと、誤解されたのかその魔法使いは尻餅をついて後ずさりする。そりゃいきなり現れて蛮族殺した奴がハンマー振りながら近づいて来たら怖くなる。私だってそう感じるはずだ。
「悪いね、別にお前を殴ろうとしたわけじゃないんだ。単に血汚れを振り払おうとしただけで…」
私の言葉が届いていないのか、その魔法使いは震えながらなおも後ずさりし続ける。
魔法使いの様子を見ると、腰まで伸びた暗い青色の髪の毛が地面に引きずられて泥だらけになり、質のいい服が雨と血でぐしょぐしょとなっていた。持っていた杖もところどころえぐれたり欠けたりしているので本当にギリギリの戦いだったのだろう。
私は魔法使いの恐怖を和らげるためにウォーハンマーを地面に置き、目線を合わせるためにしゃがんだ。目を合わせてみると分かるが、この魔法使いの目は綺麗なものだった。さっきまで生死をかけた戦いを強いられていたのに、その目は一切曇ることなく澄んだ水色をしていた。
きっと精神が他の人間より強かったのだろう。彼女なら死を近づけられた後でもまともな会話ができるに違いない。
「大丈夫か?ゆっくりでいいから話すんだ。さっきここで起こったことについて教えてくれ。」
私の問いかけに彼女は答えようとするが、やはりうまく話せないのか口をパクパクするだけだった。
こういう状況は非常に困る。私は今まで他種族と関わりを持ったことがほとんどない。ルーンフォークだから人間やエルフの感覚が分からず、良好なコミュニケーションというものを交わしたことがなかった。
普通の人間と良い会話ができない私に、精神状態が酷い臆病な人間をなだめて状況説明させるなんて無理だ。相手が同じルーンフォークだったらこの状況でもスムーズに事が進んだかもしれないのに。
それでも諦めて放り出すわけにはいかないので、ここは根気強く話しかけるしかなかった。相手の精神状況を悪化させず、むしろ安心させるような言葉を選んで話す。言ってみると意外と簡単な事だから焦らず落ち着いて、なるべく人間の気持ちを理解して言うんだ。
「怖かったろう。蛮族が滅多に出ないって言われてる地域で突然多めの蛮族に襲われたんだ、無理もない。」
「あ…う……ぇ………」
「大丈夫だ。もう蛮族はいないし、しばらくここは安全。お前に危害を加えるやつはもういない。」
私が少し微笑むと、彼女は少し安心したのか呼吸がゆっくりになる。私が近づいても後ずさりをしなくなった。
どうやら成功したみたいだ。私の存在が安全であるという事を示せたみたいで、彼女の落ち着きを取り戻すことができた。失敗するんじゃないかと少し緊張したが、上手くいって何よりだ。
「お前、名前は何て言うんだ?私はメルガム、ルーンフォークのバトルダンサーだ。」
手を差し伸べて握手を求めると、その手に対して弱々しく腕を伸ばし、彼女は私と握手をする。その手は雨で濡れていたせいか冷たく、握っているのかどうか怪しいレベルの力だった。
彼女は私が名乗った後、少しの間を置いて話始める。
「コモン…コモン・スター……」
「コモン・スターか。よろしくな!」
握った手は徐々に温かみを取り戻していて、彼女の表情も次第に穏やかなものへと変わっていく。
気づいた時には雨も止んでいて、遠くの空では雲の隙間から日が差していた。
****

誤算

****
「え、故郷に顔を出したいからついて来て欲しい?」
「うん…僕の家族にメルガムを紹介したいんだ。」
ベッドの上で装備品を整理しているときに、コモンから急に故郷の話が持ち出された。
コモンと出会って大体三か月。初めて出会ったあの後、コモンに誘われて私はパーティーにしばらく入っていた。
今日は依頼が終わって近くの宿屋に泊まっていて、私はいつものように装備品の質が落ちないよう手入れしていた。
しかしいきなり出てきたコモンの話が、手入れに使っていた布の動きを止め、ハンマーを一度床に置かせる。
"故郷に顔を出してほしい"、この言葉の意味は大体わかる。ルーンフォークとは言え、冒険に出る前に様々なことを教養として習ったし、普通に集落に時々流れてくる読み物の中でもそういったセリフは何度か聞いたことがあった。
だがまさかその言葉がここで出てくるとは思わなかった。しかもコモンの口から。コモンとは別にそういった関係ではなかったし、コモンもそういう事を匂わせるような事を私に言ったことはなかった。
だからこそ私はその言葉に頭を打たれたかのように、体のパーツに挟まって動きがおかしくなったかのように、しばらく固まってその言葉の意味について考えてしまった。
そういう意味じゃないんだとしたら他に何の意味があるのだろうか?もしかして他種族からしたら何でもないことなのか?そもそもこちらの認識がまちがっているのか?
ぼんやりとした言葉を反芻し、ようやく頭脳部品で理解できたときには、コモンがじっと返答を待っていた。彼女の目はまっすぐこちらを向いていて、私を視線から離そうとしない。
「えっと…家族には"友達"として紹介するだけだから。あんまり深く考えないでいいよ。」
私はその言葉を聞いてホッとした。コモンの言葉は私の考え過ぎだったようで、そういう意味は含んでいないようだ。
「あぁ、わかった。じゃあ連れてってもらうよ。」
私はすぐにその提案を了承する。それだったら断る理由もないし、コモンの故郷が一体どんなところかも気になるからぜひ行ってみたい。
私のその返答を聞いたコモンは「ありがとう」と一言言うと、そのまま自分のベッドに横になった。コモンの目線はずっとこちらを向いており、にこやかな様子で私を見てくる。そんなに私がついてくることが嬉しかったのだろうか?
彼女はしばらく私を見つめた後、眠くなったのか瞼をほとんど下ろしてこう言った。
「おやすみ、メルガム。」
「うん、おやすみ。」
私はそう言うと、装備品の手入れを再開し始めた。あの発言にはかなり驚いたが、どうやら私の勘違いだった。まだまだ経験不足だと思い、心の中でそれを反省する。
しかしハンマーにある細かい汚れをふき取って集中していると、さっきの言葉の意味をまだ考えてしまう。
本当にコモンは友達として紹介するためだけに私を連れて行くのだろうか?
友達って故郷に連れて行ってわざわざ紹介するようなものなのか。
深く考えることではないと言われたが、私の演算装置には処理に時間がかかる情報だったようで、その日からしばらく頭から離れるような気がしなかったのだった。
****

地下室と鎖

****
何を誤ったのだろうか。いや、誤ってはいないかもしれないが、何かしらの間違いがあってもおかしくない。
だって私の手足が鎖でベッドに繋がれている。こんな状況は何かを間違えない限り起こらないだろう。
薄暗く閉塞的な地下室で手足の自由は縛られており、私の行動範囲は壁よりのベッドからせいぜい2~3m程度。行動を物理的に制限されているこの状況は普通どう見ても監禁だ。
これは身の危険を感じるには十分な状態であり、今すぐにでもこの繋がれた鎖を強引に引きちぎって地下室から脱出すべきだろう。
でも、私はこの地下室に監禁されて一度もそのようなことを試みたことはない。それは鎖を千切る力が足りないからでもなく、足のパーツが壊れているわけでもなく、ここに私を監禁している人物が理由だ。
「ただいま、メルガム。」
地下室の天井に取り付けられた扉が開く。薄暗い地下室を一瞬だけ地上の光が照らす。しかしその光は長く続くことはなく、すぐに扉が閉められ大きな南京錠で扉はガッチリと閉められた。
そう、私を監禁しているのはコモンだ。
故郷に顔を出してほしいと言われてついていった後、私はコモンの両親と会った。そこで少し今までの冒険の話をしたり、私の出身の事を言ったりしたが、その時から若干様子がおかしいとは思っていた。
やたら両親がニコニコしているなとか、会話の内容がコモンの将来のことだったり、なぜか私がいる前提での話だったり。今思えばあれは私を婚約者として紹介していたのではないかと考えられる。
だがもう既に遅い。両親と会った後、頭の中でいろいろと考え込んでいるうちに眠くなってきて、そのまま寝た。その間にきっと運ばれてしまったのだろう、朝起きると地下室に連れてかれていて、鎖につながれて既に自由は無くなっていた。
「ごめんね、思った以上に依頼が長引いちゃって帰るの遅くなっちゃった。」
申し訳なさそうな顔でコモンは私を見ている。コモンの手には蓋つきの金属の缶の取っ手が握られており、私の目の前まで持ってきて蓋を開ける。中には具がゴロゴロと入ったスープが入っていて、それを木のボウルに丁寧に装った。
コモンはベッドの近くにある机にスープとパンを二人分置き、私の隣に座って「いただきます」というとスープを食べ始めた。私もコモンに続くようにしてスープを口に入れる。さっき買ってきたばかりだろうか、まだ湯気が立つほど温かく、起きたばかりの体の食欲を掻き立てる。
しばらく無言のまま、私達は黙々と朝食を取った。何者にも邪魔されない空間というのを裏付けるように、パンを千切る音と、スープを飲み込む音だけが聞こえてくる。手足は鎖で繋がれているのに、こういう時間というのはなぜだか私に安心感を与えていた。
朝食を取り終えたタイミングで、私はコモンに聞きたかったことを口にする。
「コモン、私がこの地下室に来て大体何日かわかるか?」
「えっと、2週間とちょっとだね。それがどうかしたの?」
どうかしている。監禁がまるで当たり前のように話しているが絶対に当り前じゃない。
「そろそろ出してくれないか?あんまりここに長居しているとバトルダンサーとしての腕が落ちそうなんだ。せめてハンマーの素振りくらいさせても…」
私のその発言に対し、コモンはムッとした顔をして言う。
「ダメ!メルガムは50年しか寿命がないんだ。ただでさえ短いのに外なんかでたらきっとケガをする!」
「私そんな弱くないだろ。もし蛮族に出くわしても、ちょっとハンマーの汚れが増えるだけで済む。」
「それがいつもとは限らないよ。蛮族だって正面から戦ってくれるわけじゃない。もし不意打ちを受けたらメルガムでもやられちゃう。」
「確かにそうではあるけどな…」
そう、コモンが私を監禁する理由は私を危険にさらさないためだ。ルーンフォークは思ったよりも寿命が短い。50年ほどで稼働停止が来るので、人からしたら割と短いように見えるのだろう。
そんなただでさえ短い寿命の中で、私のような前衛職だと故障などのリスクも付きまとってくる。そうなると稼働停止が早まってもおかしくないと言えるから、コモンはこうやって私を監禁するのだ。
だがそれにしてはやりすぎな気もする。普通寿命の事を気にするなら私を後衛職にしたり、どこか安全な場所に定住させるなどの選択肢もあったはず。それら選択肢を跳ね除けてわざわざ監禁を選ぶあたり、コモンには"私の身の安全を守る"以外にも理由があるのだろう。
「メルガムは僕の友達なんだから、もしもの事があったらって思うと気が気でならないんだ。」
「だからって鎖でつなぐことないだろ?お前がいつも私を見ていればいい話じゃないか。」
「そうでもしないと、メルガムはきっと僕から離れて行くじゃん。」
コモンが寂しそうな目でこちらを見てくる。少しボソボソとした声のトーンから本当に私の事を心配して言っている事がわかった。
「あーわかった、わかったからそんな目で見ないでくれ…」
私はコモンからの視線を手で遮る。ああいう目で見られるとなんだか色々と流されてしまいそうで、また何かやられる前に私は話を終点へと進めた。コモンは私のその返答に満足したのか、それ以上は何も言ってこなかった。
私達は会話の後、朝食の後片づけをして、今回コモンが受けた依頼の報酬金を確認した。夜型の依頼だったからか、通常の物よりかは金払いがよく、おまけでいくつかアイテムもついてきた。
だがいくら稼げるとは言っても私とコモンの生活費すべてを賄えるわけではない。冒険者の依頼というのは必ずしも毎回取れるわけでもないし、失敗したときは収入はマイナスとなる。コモンはそこまで腕の立つ冒険者じゃないし、何か他の仕事をやっているわけじゃない。このままだと資金が底をつくことは嫌でもわかる。
「なぁコモン、ちょっとこの報酬金じゃ厳しいんじゃないか?」
私が切り込むように話を振ると、コモンは困った顔をした。私から目をそらすようにして、弱々しく唸っている。彼女もこの資金問題に関しては重荷に感じているようだ。
「大丈夫だよ。僕がもっと腕を上げて高い依頼を受けられるようになればいいから。」
「全然大丈夫じゃないだろ。そうなるよりも資金が底をつく方が早い。それに――
私は手をコモンの顔に伸ばし、そっと目元に指をあてる。そして親指で目の下の隈をなぞった。
「お前だけが無理するのは良くない。最近報酬を第一にし過ぎて自分の体調管理を怠ってないか?」
「それはその…まだ僕の体に支障はきたしてないから…」
「今が大丈夫でも後々必ず反動が来る。いいかコモン、コモンが私に危険に身を置いて欲しくないように、私もお前に無理をさせたくはないんだ。」
「うぅ……」
コモンが私を鎖につないで監禁していても、私はコモンを嫌いになったわけじゃない。別に鎖を千切って出る事ならいつでもできるし、実際最初にやろうと考えはした。
だが、それをするとコモンが是が非でも私を連れ戻そうとする。多分自分の持てる力を全て使ってでも全力で追いかけてくるだろう。その過程でコモンが傷ついたりするのは明らかだ。私はそんなコモンを見たくない。
これでも冒険で初めてできた仲間、思い入れは沢山あるし話していると面白い。特に私が知らない魔法の知識をコモンは多く持っている。そういう魔法の話を聞けなくなるのはごめんだ。
だから無理はさせたくないし、できればもう少し安全で楽な依頼を受けて欲しい。
私の心配が伝わったのかは分からないが、コモンは「わかった」と、ぽつりと言った。すると突然私に体を寄せて、身を預けるようにし始める。そして私がベッドに置いていた右手に彼女の左手が重なり優しく握られた。
「じゃあ僕の体力を回復させるためにメルガムの膝を貸してよ。」
唐突な要求が投げつけられる。膝を貸すというのはあまり聞いたことがないが、恐らく言葉の意味的には"これからあなたの膝になんかいろいろするけど許してね"という事なのだろう。
「膝?まぁ…それで休まるならいくらでも貸すが。」
別に傷をつけられるわけでもないだろうしと思い、私はその要求を承諾した。それを聞くと、コモンは少し私から離れ、体勢を横にし頭を私の膝の上に乗せた。そして私の右手を掴むと、それを頬にくっつけて擦る。
彼女の体温がじわりと金属製の私の手に伝わっている。人工的に作られた神経が事細かに熱の情報を送り、コモンの存在を直に感じさせた。
「こうしてると体が休まるんだ。全部の脅威からメルガムが守ってくれてるみたいで…」
コモンはゆっくりと目を閉じ、私の手の甲をさわさわと指でなでる。
こういう事をされると、コモンが私を監禁した他の理由がなんとなく見える。多分彼女は私をそういう目で見ているんだろうし、今までなんとなくその兆候は見え隠れしていたと思う。宿に泊まるとき必ず私と同じ部屋を希望したり、治療の時やたら触診が多かったり、思い当たる節はあげればきっときりがない。
私はコモンのそういう行動は嫌いではないが、それをする理由を聞くたびに、全て「友達だったら普通やる」で片付けられるのは少々苛立ちを覚える。彼女は思い切った行動をする割にはその行動に自信が持てず、何かしら理由を付けてうやむやにしたがる。
都合の悪いことはすべて認識しない、コモンの悪い癖だ。ここでこの行動の理由を聞いても、何かしら取ってつけたような言い訳でごまかされるのだろう。
きっとこれ以外の事も、多くのコモンに関することはごまかされている。そんな曖昧さの鎖が行くところまで行って、きっと実体を持ってしまったんだろうな。腕と足に付けられた鎖を見ながら、私はその曖昧さを引っ張って叩かなかった過去の自分を顧みた。もしかすると、これは私の方に責任があるのかもしれない。
私がしばらくそんな風に考え込んでいると、スースーという小さな寝息が聞こえてきた。膝を見ると、私の手を掴んだままコモンが眠っている。よっぽど疲れていたのか、私がその手をどかしても反応が無い。
「…自分勝手なもんだな。」
私と一緒に居たいならそう言えばいい。わざわざ鎖で縛る必要なんてなかったはずだ。
私が壊れるのが嫌ならそう言えばいい。わざわざ体を酷使する必要もなかったはずだ。
コモンは確実に私を手に入れるために、私のあらゆる逃げ道を塞いで拘束した。つまり私がコモンを拒絶して逃げることを事前に想定しているともいえる。確かに私はこの地下室にずっといたいわけじゃないし、日の下でのんびりと歩きたい時があれば、こんな所に居たいとは思わない。
でもコモンから逃げる理由なんてどこにもない。彼女が私に何をしてこようが、私は現にこうして許している。それは私が人生の形が見えておらず、人生を通して何かしたいことがあるわけでもないからというのもある。強いて言うなら楽して生きたいからガメルが大量に欲しいことぐらいだ。
しかし、コモンは私という存在に近づき、触れるために毎回無駄に強固な縄で縛らないと気が済まないらしい。私がどこかでコモンを拒絶していると思っているのだろう。そのせいで彼女に大きな負担がかかっている。
私はコモンから信用されていないみたいだ。
そう思うと自然とため息が出た。他人から信頼されないなんて今までよくあったが、コモンに信頼されてないとなるとショックだ。
「少しくらいは信じてくれよ…」
コモンの髪の毛を指でいじりながら、不満と共に言葉を漏らす。その言葉は地下室の暗がりに消えてなくなってしまった。
私はあれこれと考えてコモンの寝顔を見ている間に眠気が移ったのか、次第に瞼が重くなっていく。ランプの火がそっと消えるように、私の意識はそこで途切れた。
****

暫しの別れ

****
明りのない地下室で、私は目を覚ました。地下室の景色は朝でも夜でも変わらず、ただただ冷たい石の壁が視界のほとんどを埋め尽くしている。ただ何となくだが外が夜だという事が分かるような気がした。
起きてしまったので体を起こすと、私の腕が何かに引っかかったような感覚があった。腕の方を見るとコモンが両手でガッチリと私の腕を掴んでいる。寝る前はいなかったので多分寝ている間に帰って来たのだろう。
私を掴むコモンの顔は穏やかではない。悪夢でも見ているのか、それとも疲労から来ているのかは分からないが、彼女がこうして寝ているときにうなされるのは最近多い。恐らくは無理な依頼を大量に受け肉体的にも精神的にも限界が来始めているのだろう。
呼吸は荒く、額から汗がにじみ出ている。腕をつかんでいる手は、離したら死でも待っているかのように切羽詰まる様子で力強く掴まれている。
「メルガム…僕を……置いて…いやだ…」
コモンが寝言を小さな声で言った。それも今にも泣きそうな声で。
その一言は私の心の中にある決意を歪ませる。もう少しここにいてもいいかもしれない、そんな考えが頭の中で声を上げている。その声は関節部分の動きを鈍らせ、私は機械油の切れたロボットのようにほとんど動けなくなってしまった。
でも、それでも私は動かなければならない、ここから出なければならない。
もう私たちの貯金は尽きている。明日の夕飯を買うような金も残されていない。いわば破産したも同然だ。
このまま私が何もしなければ、コモンは自分の食事を私に与えて餓死する可能性がある。さらに言うと、追いつめられたコモンは最悪犯罪に走りかねない。それは何としてでも止めないとならない事だ。
私はここから出て、コモンが無理をしないでいいようにある程度ガメルを稼いでくる必要がある。力ずくでも構わない、コモンが壊れてしまうよりかはマシだ。
私は腕を掴むコモンの手を優しく剥がし、ベッドから降りて立つ。左手首に繋がれた強固な鎖を手で握り、グッと力を入れてねじるようにして切った。弾けるような金属音がすると、私の左腕はすでに自由でどこにも繋がれていない状態になっている。それに続いて右手首、両足首の鎖も同様にねじ切り完全な自由を私は手にした。
あれだけ音を立てたというのに、コモンは先ほどの表情のまま寝ている。こちらとしてはありがたく、もし起きて止められでもしたらかなり面倒なことになっていたから安心した。しかし、それほど深い眠りにつくほど追いつめられているという事が同時にわかるので、決していい気分ではない。
気がかりな感情をベッドに残したまま、私は地下室の扉に進む。扉にかけてある南京錠をこれまた素手で破壊し、強引に開錠した。
事前に書いておいた書き置きの手紙をそっと扉に貼り付け、大体半年ぐらい居た地下室に別れを告げる。振り返るとコモンが一人でベッドに横たわっているのが見える。地下室は明りを消してあるからコモンはたとえ今起きたとしても私は見えないはずだ。
掴む腕を無くしたコモンの手は行き場を失って、縮こまるような姿勢で胸を押さえていた。私が起きた時よりも苦しそうで、寂しそうだ。彼女を一人にしてしまうと考えると喉が絞められたような感覚になり、私も苦しくなる。
でもその痛みに気を取られないようにして、私はゆっくりと扉を開いて外に出た。
「またな、コモン…」

外に出ると案の定夜だった。空には星がいくつも輝いていて、眩しいくらいの光が私の目に入ってくる。
久しぶりの外は半年前とほとんど変わっていない。いつも通り静かだし、空気は澄んでいて遠くにはなだらかな山が見える。
「さてと…まずはどうすべきか…」
とりあえず日の出までは、コモンが起きるまでにはなるべく遠くに行っておかなければならない。恐らく、いや確実に起きて私がいないことがわかったら連れ戻そうと追いかけてくるはずだ。そこで見つかったら今度はどうなるかわからない。
私は道なりに沿って走り始めた。きっとこのまま進めば冒険者ギルドの一つや二つ施設が見つかるはずだ。確証はないが何となくそうなるとこの時だけ思える。
久しぶりに走ったからか、少し足が重い気がした。足だけではなく心も重い気がしてならない。まだきっと見えない鎖がついている、引きずりながら私は走っているんだと思う。
存在しているのかしていないのか、曖昧な鎖を足に付けながら、また曖昧な目的地を目指して曖昧な道を駆け抜けていった。
****

スーパー謝罪

~ここまで読んでくれた人へ~
なげぇ設定わざわざ読んでくれてサンキューです。12234文字も読むと疲れるでしょう。
メルガムはこんな設定長いですがざっくり概要みたら分かる通りさほど濃い中身はございません!
要するにRPには期待すんなってコトっすよォ!!!

セッション履歴

No. 日付 タイトル 経験点 ガメル 名誉点 成長 GM 参加者
キャラクター作成 3,000 1,200 0
能力値作成履歴#358149-1
1 9/17 蛮族を駆逐せよ全編 1,300 890 18 精神
きたらき
2 9/19 蛮族を駆逐せよ後編 3,730 1,620 61 精神×2
きたらき
3 9/27 メリア連続失踪事件を追え 1,430 1,752 46 敏捷
魔奇貝
4 9/28 メリア連続失踪事件を追え 後編 3,610 4,284 97 器用
精神
魔奇貝
5 9/30 ひとりぼっちの少女と空を舞う古の魔剣前編 2,000 6,492 40 筋力
イツニコ
6 10/6 ひとりぼっちの少女と空を舞う古の魔剣後編 4,700+200 10,497 12 器用×2
精神×1
イツニコ
7 10/15 私立シャロウアビス学園:前編 1,900 5,383 9 精神
もちドラ
8 10/19 私立シャロウアビス学園:後編 4,330 5,933 33 筋力
生命
もちどら
取得総計 26,200 38,051 316 13

収支履歴

なんか初期からいろいろ

マトック::-440
スマルティエの筋力増強の指輪::-400
クロスアーマー::-15
冒険者セット::-100
救命草x5::-150
マトック売却::+220
ベグ・ド・コルバン::-1800
クロスアーマー::+8
ポイントガード::-100
アルケミーキット::-200
金Bx5::-100
金Ax2::-400
能力増強の指輪::-500
金Bx20::-400
金Ax10::-2000
宗匠の腕輪::-1000
薬師道具セット::-200

ひとりぼっちの少女と空を舞う古の魔剣前編

金Ax5::-1000
受益者のシンボル::-100

ひとりぼっちの少女と空を舞う古の魔剣後編

金Ax15::-3000
金Bx4::-80
セービングマント::-8000
10点魔晶石::-2000

私立シャロウアビス学園:前編

マギスフィア小::-200

私立シャロウアビス学園:後編

立ち寝のレギンス::-500
不敵の仮面::-4520
スマルティエのヘッドバンド::-6000
金Ax9::-1800
魔香草x10::-1000

詳細

金Ax7::-1400
肉::-20

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