“神判代行者”神枝 メイ
プレイヤー:スケヴェーヌ
見ていてね、神さま。私があなたの────
- 年齢
- 17
- 性別
- 女
- 星座
- 身長
- 164
- 体重
- 50
- 血液型
- ワークス
- FHエージェントD
- カヴァー
- 高校生
- ブリード
- トライブリード
- シンドローム
- ブラム=ストーカー
- ウロボロス
- オプショナル
- ミストルティン
- HP最大値
- 27
- 常備化ポイント
- 4
- 財産ポイント
- 0
- 行動値
- 9
- 戦闘移動
- 14
- 全力移動
- 28
経験点
- 消費
- +4
- 未使用
- 0
ライフパス
| 出自 | 彼女は3年前まで、ごくごく普通の中学生だった。あの事件の日までは。 | |
|---|---|---|
| 安定した家庭 | ||
| 経験 | 神父服のオーヴァードの男に攫われ、そこで彼女は“神さま”に出会った。 | |
| 新しい世界 | ||
| 欲望 | 「あれから、世界は何事もなく回ってる。あなたを欠いたまま。それが正しいとばかりに。だから私は、全部やり直すよ。その前に、全部、壊すから」 | |
| 世界を築く | ||
| 覚醒 | 侵蝕値 | “神さま”は今際の際に、神枝メイに力を託した。それは祝福であり願いだった。……それが、正しく伝わっていると信じていた。 |
| 感染 | 14 | |
| 衝動 | 侵蝕値 | 「もうやめてくれ」「私はそんなことを望んではいない」「私はただ、君を守りたかっただけなんだ」「裁かれるべき命など、何処にも居はしない」その声は、届かない。 |
| 16 | ||
| /変異暴走 | 暴走を受けた際、即座にHPを5D失う。その後、暴走を回復する。この効果は暴走を受ける度に発動する。 | |
| その他の修正 | 7 | 原初の赤+原初の青+イージーフェイカー |
| 侵蝕率基本値 | 37 | |
能力値
| 肉体 | 2 | 感覚 | 3 | 精神 | 3 | 社会 | 1 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| シンドローム | 1+1 | シンドローム | 2+1 | シンドローム | 1+2 | シンドローム | 0+0 |
| ワークス | ワークス | ワークス | ワークス | 1 | |||
| 成長 | 成長 | 成長 | 成長 | ||||
| その他修正 | その他修正 | その他修正 | その他修正 | ||||
| 白兵 | 射撃 | RC | 1 | 交渉 | 1 | ||
| 回避 | 知覚 | 1 | 意志 | 調達 | 1 | ||
| 情報:FH | 1 |
ロイス
| 関係 | 名前 | 感情(Posi/Nega) | 属性 | 状態 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Dロイス | 鞘人:聖剣の王者 | ― | このDロイスを取得した時、遺産継承者専用アイテムからひとつ選び、取得する。これはアイテムごとに別のDロイスとして扱う。取得したアイテムは常備化されているものとして扱い、自分以外に使用、装備不可であり、効果を受けることも出来ない。 | ||||
| 神さま | 遺志 | / | 偏愛 | 大丈夫だよ神さま。あなたを認めなかった世界のこと、全部やり直してあげるから。そうしたらまた、逢えるかな。 | |||
| 両親 | 懐旧 | / | 悔悟 | やりたいことが出来たって言った時、理由も聞かずに応援してくれたの嬉しかったよ。だから、頑張るね。 | |||
| サイア | 好奇心 | / | 敵愾心 | レネゲイドビーイング。神さまと同じ……あなたも、居場所が無いの? | |||
| ― | |||||||
| ― | |||||||
| ― | |||||||
エフェクト
| 種別 | 名称 | LV | タイミング | 技能 | 難易度 | 対象 | 射程 | 侵蝕値 | 制限 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| リザレクト | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 効果参照 | ― | |
| (LV)D点HP回復、侵蝕値上昇 | |||||||||
| ワーディング | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | シーン | 視界 | 0 | ― | |
| 非オーヴァードをエキストラ化 | |||||||||
| 赫き重刃 | 1 | マイナーアクション | 自動成功 | 自身 | 至近 | 5 | |||
| 使用時に所持している武器ひとつを選択し、Lv以下の任意のHPを消費する。そのシーンの間、選択した武器の攻撃力を+[消費したHP×4]。また、その武器は両手持ちになる。 | |||||||||
| 原初の青:クイックモーション | 1 | マイナーアクション | 自動成功 | 自身 | 至近 | 2+1 | |||
| マイナーアクションで行える、エフェクト以外の行動が可能。1シーンLv回まで。 | |||||||||
| 神殺す刃 | 1 | マイナーアクション | 自動成功 | 自身 | 至近 | 3 | |||
| このエフェクトを使用したシーンの間、選択したアイテムを作成し、装備する。また、作成したアイテムと同じ種別のアイテムを装備出来なくなる。 | |||||||||
| コンセントレイト:ウロボロス | 3 | メジャーアクション | シンドローム | ― | ― | ― | 2 | ― | |
| クリティカル値を-LV(下限値7) | |||||||||
| 原初の赤:サンドシャード | 1 | メジャーアクション | 〈RC〉 | 対決 | 範囲(選択) | 視界 | 4+1 | ||
| 所持している武器ひとつを選択し、「攻撃力:[選択した武器の攻撃力]」の射撃攻撃を行う。使用した武器はメインプロセスの後、攻撃の成否に関わらず破壊される。1シーンLv回まで。 | |||||||||
| 原初の白:オーバーロード | 1 | オートアクション | 自動成功 | 自身 | 至近 | 3+2 | 80% | ||
| 自身が攻撃を行う命中判定の直前に使用する。その攻撃力に+[使用している武器ひとつの攻撃力]する。このエフェクトを使用したメインプロセス終了時に選択した武器は破壊される。 | |||||||||
| イージーフェイカー:プラズマカッター | 1 | メジャーアクション | 自動成功 | 自身 | 至近 | ||||
| 超高熱のプラズマを発生させて物体を切断するエフェクト。精密作業にも使用出来、自分の意のままに操ることが出来る。戦闘時には使用出来ない。 | |||||||||
| 闇夜の烏 | 1 | メジャーアクション | 自動成功 | 自身 | 至近 | ||||
| 自らの姿を影の中に溶け込ませ、自由に移動するエフェクト。自分の姿は完全に溶け消えて発見されることはなくなるが、影の中から出たり光で照らされるなどして影が消えると効果は無くなる。戦闘中は使用出来ない。GMは<知覚>による判定を行わせても良い。 | |||||||||
コンボ
神の見えざる手
- 組み合わせ
- 神殺す刃+赫き重刃+(原初の青:クイックモーション)
- タイミング
- マイナーアクション
- 技能
- 難易度
- 自動成功
- 対象
- 自身
- 射程
- 至近
- 侵蝕値
- 8(11)
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
[渦巻く炎の剣]を作成し装備する。また、その攻撃力に+[消費したHP×4](サングイン適用)。
100%~ C値-2(下限値4)。シナリオ中1回まで。
神羅罰刑・星に願いを御身に愛を
- 組み合わせ
- 原初の赤:サンドシャード+コンセントレイト:ウロボロス
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- RC
- 難易度
- 対決
- 対象
- 範囲(選択)
- 射程
- 視界
- 侵蝕値
- 7(12)
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 80%以上
- 3+4
- 7
- 1
- 78
- 100%以上
- 3+4
- 4
- 1
- 86
- 3+4
《鮮血の奏者》(サングイン込)《神の見えざる手》前提。[ストレンジフェイズ][クランサイン]使用。
100%~ [渦巻く炎の剣]使用。シナリオ中1回。
異端神罰・人は主につれ______
- 組み合わせ
- 原初の赤:サンドシャード+コンセントレイト:ウロボロス
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- RC
- 難易度
- 対決
- 対象
- 範囲(選択)
- 射程
- 視界
- 侵蝕値
- 7
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 100%未満
- 3+4
- 7
- 1
- 39
- 100%以上
- 3+4
- 7
- 1
- 43
- 3+4
《鮮血の奏者》(サングイン込)《神の見えざる手》前提。[ストレンジフェイズ][クランサイン]使用。
| 武器 | 常備化 | 経験点 | 種別 | 技能 | 命中 | 攻撃力 | ガード 値 | 射程 | 解説 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 渦巻く炎の剣 | 白兵 | 〈白兵〉 | 15 | 7 | 至近 | ※[アーキタイプ:聖剣の王者]の相当品。 マイナーアクションで使用。このメインプロセスの間、この武器による攻撃の判定のC値-2(下限値4)。 代償:暴走を受けている間、攻撃が行えない。 | |||
| エンチャント:コンセントレイト:ウロボロス | 10 | ※《渦巻く炎の剣》 取得時にエフェクトからひとつ選択 |
| 一般アイテム | 常備化 | 経験点 | 種別 | 技能 | 解説 |
|---|---|---|---|---|---|
| サングイン | 15 | 一般 | ブラム=ストーカーの「任意のHPを消費する」効果を持つエフェクトの消費したHPに+5点したものとして効果を発動出来る。 | ||
| クランサイン:RC | 5 | エンブレム/一般 | 選択した技能の判定のダイスを+2。 | ||
| コネ:要人への貸し | 1 | コネ | 〈情報:〉 | 任意の<情報:>判定のダイスを+3。シナリオ中1回まで。レアアイテム | |
| 家族写真 | 2 | 一般 | ※[思い出の一品]の相当品。 意志判定の達成値に+1。 | ||
| ブランケット:家族写真 | 1 | 意志判定の達成値に+1。しかし、改造元アイテムを所持していない場合-1。 |
経験点計算
| 能力値 | 技能 | エフェクト | アイテム | メモリー | 使用総計 | 未使用| 0
| 0
| 104
| 30
| 0
| 134
| 0/134
| |
|---|
侵蝕率効果表
現在侵蝕率:
容姿・経歴・その他メモ
プロフィール
端正な顔立ちの黒髪の少女。その蒼い瞳には、狂気を帯びた憎悪が宿っている。
性格は一途で、几帳面。しかし真面目過ぎる振る舞いは堅苦しいので苦手。飽くまで自分の満足する範囲で丁寧に生きていたいという主義。UGN、そしてその庇護下にある人類社会全てを憎んでいる。反面、レネゲイドビーイングに対しては温情的な目を向ける。
3年前に巻き込まれたあるレネゲイド事件によりオーヴァードに覚醒し、鎮圧に当たっていたUGN部隊を皆殺しにした後、FHに参入した。過激な思想を持ってはいるが、組織人になったという自覚の元、無闇矢鱈と能力をひけらかすなど問題になりかねない行動は慎んでいる。
彼女の覚醒のきっかけになったレネゲイドビーイングを“神さま”と慕い、自身の掲げる『全人類の抹殺』『優しい世界を作る』という目標は、“神さま”から力と共に受け継いだものだと信じきっている。
その目標の一歩目として両親を殺害しており、現在はあるミッション系女学院に潜入し、寮で寝泊まりしている。
彼女の内に宿る“神さま”の遺志は嘆く。
「そんなことを望んではいない」と。
過去(ヨマンデイイ)
①ある男の狂信
ある男が居た。気が触れたと言って差支えない男。人生において積み重ねた財産、地位、そして愛した全てを瓦落と喪い、空いた器に、ありたけの憎悪を注ぎ入れた、そのような喪失者であった。
そんな男に、幸運と不幸がそれぞれひとつ。絶望し、自死を図った折にオーヴァードに目覚めたこと。そして、男を見つけ出したのは、UGNではなくFHであったこと。
覚醒した異能と、久方ぶりに得られた承認。一時は全能感に酔いしれ、己の不幸を暴力に転換し他人に振り撒いた男であったが、程なくしてUGNの迎撃を受け、敗走する。
這う這うの体で逃げ帰った男に対するFHの対応は、冷徹を極めた。役立たずの駒に用はないと、男は再び、居場所を失った。
超常の力を得て尚、何も成すことが出来なかった男は、尽きせぬ怨念だけを抱いて当て所なく彷徨い続けた。
やがて男が辿り着いたのは小さな教会だった。
誰も居ない、古ぼけた廃教会。そこで拾い上げたのは聖書の一冊。湿気に晒され、また日に焼かれたことで乾いて変色した本が、埃を被って捨て置かれていた。そんな誰からも必要とされなくなった書物と自分を重ね、奇妙な感傷を抱いた男は、気付くとごわついた紙を一枚一枚捲り始めていた。
書に記されている中で男の目を惹いたものは、神の存在、そして数多の人間の罪の証。
人は最後の審判を受け、裁かれなければならない。とうに日が落ち、月明かりが差し込む教会で、男の歪みは導きを得た。
レネゲイドビーイング。かの存在について、FHに身を置いていた頃に教えられたことがある。レネゲイドが意志を持ち、依代を基に、肉体を得た者たち。彼らが依代に選ぶものは、何も形あるものだけではない。噂や伝承、人の思いさえ血肉とするのだ。愚昧極まる人間の願いをさえ。
……ならば、自分の願いはどうか。未だ訪れぬ最後の審判。起こらないのなら、起こせばいい。全ての生命に然るべき裁きを下す、神をこの世に降ろせばいい。レネゲイドよ、裁きの主たれ。
②神枝メイの洗礼
死ぬ。私は今日ここで。
そう確信し、しかし不思議と恐怖は無かった。絶対に避けられない死を前に、私の心と体は抵抗ではなく、受容を選択したのだ。
なんでもない一日のはずだった。突然、黒ずくめの神父服の男の人が話しかけてきて、それきり。
目を覚ますと岩肌に囲まれた広い洞窟の中、私の目の前に居たのはあの男と、怪物。
黒い茨の冠を戴いた、ビルのように大きな怪物。白い翼を広げて、まるで神さまみたいだなんて、呑気なことを考えてしまった。だって、本能的に分かる。あの怪物は、簡単に私を殺せてしまうだろう。私が何かを話すより早く、私をバラバラに引き裂いてしまう力があるって、直感的に分かったから。私が何をしても無駄だって悟ってしまった。
フリーズしている私を置いて、神父服の人が大きな声で怪物に話しかけてる。
ぼんやりと聞いていて理解した。やっぱりこの怪物は神さまなんだ。そして私は生贄。いつかこの神さまが、世界を滅ぼせるくらい大きく育つために与えられたご飯のひとつなんだ。
死にたくない理由なんていくらでも思いつくのに、それでも神さまの前ではそんなこと全部意味無いんだって、わがままでしかないんだって、理解させられる。そのくらい恐ろしい存在だった。
男はひとしきり喋った後、私の方を見向きもせずに立ち去った。何も無いはずの岩壁に触れると、まるでジッパーが開くみたいに道が現れて、向こう側へ消えてしまった。壁はすぐに閉じて、私と神さまだけの空間になった。
もうおしまいだ。せめて痛くしないで欲しい。神さまなんだから、そのくらいの願いは聞いてくれると良いな、なんて。神さまには顔が無くて、真っ暗な闇が私をじっと見下ろしていた。
……見下ろしている、だけ。私に何をするでも、話しかけるでもなく、ただ私をじっと見下ろして……ぷい、と顔を逸らしてしまった。
その瞬間、私はようやく、緊張で呼吸を忘れていたことを思い出して必死に息を吸い込んだ。見逃された?それともお腹が空いてないだけ?もしかしたら、私は不味そうで食べたくなかったのかな?どれだけ考えても神さまは応えてくれないし、見向きもしてくれない。羽ばたきもしていないのに、広い洞窟の中でふよふよと浮いている。時折、身体を動かしているので起きてはいるみたいだけれど。
恐る恐る、震える脚に鞭打つようによたよた立ち上がる。私が動き出しても、やっぱり神さまは無反応。でも、いつ気が変わるか分からない。私は出口を求めて、洞窟の中を探し始めた。
結局、出口はどこにもなかった。あの男が出ていった壁を調べても硬い岩の壁でしかなかった。天井は閉じているし、灯りはあの男が用意したのかランタンが点々と設置されているだけ。この空間がどうやって成り立っているのかさえ分からない。相変わらず神さまはこの洞窟で浮いているばかりで、何をしてくれる訳でもない。頭がどうにかなりそうだった。
それから、何時間が経ったのだろう、幸い、大きな水溜まりが出来ていて、気は進まないけれどそれを飲めば渇きは凌げた。けれど、いつか限界が来る。やっぱり、ここの出入りはあの神父しか出来ないんだろう。また彼がやってきたら、出してくれるように頼むしかない。聞いて貰える保証なんてないけど、それでもやるしかない。……そう意気込んでいたせいで、背後の神さまが私に腕を伸ばしてきているのに気付かなかった。
突然の浮遊感。そして、視界が真っ暗になる。自分が神さまに握り締められたのだと気付くのに時間はかからなかった。パニックを起こして叫ぼうとするけど、全身を締め上げられて上手く声が出せない。殺される。やっぱり食べられるんだ。さっきはあんなに大人しく出来ていたのに、今では自分でもびっくりするほど死ぬのが怖い。けど、私がどれだけもがいたところで神さまの掌から抜け出す事は出来なかったし、それに神さまは私を殺そうとはしなかった。
冷静さを取り戻して、どうしていきなりこんなことをしてくるのかと疑問を投げかけようとした瞬間、足音と共にあの男の高らかな声が聴こえてきた。
同時に神さまの圧迫が更に強くなる。息苦しさの中で声もあげられず、私は男の言葉を盗み聞くことしか出来なかった。
男は私の存在に気付かないまま、神さまに向けて滔々と語り出す。内容はまるで理解出来なかったけれど、それが正気の沙汰でないことだけはハッキリと分かった。如何に人間が愚かなのか、そしてそれを滅ぼすことが神の使命なのだと、興奮した様子で語り続けている。
一体、何の資格があって全ての人は裁かれるべきなんて語っているのかと憤りを覚える。同時にひとつ、疑問が生まれた。男の語り口はまるで先生が授業をしているような、神父が信者達に説教をしているようにも思えたのだ。
神父が神に教えを説くなんて、明らかにおかしい。宗教に詳しくない私でもわかることだ。神さまと神父。そう見えた構図は正しくなくて、本当は神父気取りの男が、この怪物を神と呼んで利用しているだけなんじゃないのか?そんな考えが脳裏に過ぎる。
この生き物も、ただ閉じ込められているだけで、人に危害を与えたい訳ではないのかも。それに、人の言葉を理解しているなら、話が通じるのかもしれない。もしも、この生き物と一緒に、神父をやっつけて外に出られたなら……。薄暗い洞窟の中に、小さな、けれど確かな灯りが見えた気がした。
③そして怪物は神と成る
“私”は神、或いは主と言うらしい。目を覚ました時、一番最初に教えられたのがその名だった。
私の前には、感極まった様子で捲し立てる、痩躯な神父服の男。それが人間という生き物であることは本能的に理解していた。彼は興奮しきった様子で私と、世界と、人間との関係を、手に持ったぼろ切れのような書物を元に語り始めた。
曰く、人は罪を犯し過ぎた。曰く、世界は人で溢れすぎた。曰く、だから私は人に然るべき裁きを下さねばならない。最後の審判の日に備え、力を蓄えるためにこの岩肌に囲まれた何も無い空間に居るのだと。
どうやら私は、恨みも無ければ顔さえ知らない八十億の命を消し去るために産まれてきたようだ。それにどのような意味があるのかは甚だ疑問であったが、私の存在意義がそうだと言うのなら、聞いてやるのも吝かではないか。それに、私が生まれてきたのは恐らくこの男のお陰なのだから、生んでもらった恩くらいは返してやるべきだろう。
そうして、なんの恨みもない復讐劇が、人知れず幕を開けたのだった。
男は日に一度(この場所では時間など分からないので、男がやって来るのを一日と定義している)、私に教えを説きにやってくる。人の愚かさを語り、裁きを下すことの正当性を訴えかける。それらは全て、男の持つ傷んだ本を元に語られるものだが、どうにも曲解が激しい気がするのは気の所為だろうか。何にせよ、私はこの男のようには人間を恨めなかった。何しろ、人間という存在を目の前の彼以外に知らない。まったくもって知らなすぎるからだ。とはいえ、私の唯一の縁である彼がこうも切実に望むのだから、殺戮は全うしてやろうと思っているが……。
金切り声が響く。その声に私との会話(常に一方的に捲し立てられているだけだが)を遮られた神父は苛立ち、連れてきた青年を足蹴にする。
ぼんやりと岩の天井を眺めていた私は、その声に意識を取り戻す。食事の時間か。
定期的に神父は何処からか人間を攫ってきては、私に食べさせるのだ。人の血肉とレネゲイドウィルスを吸収させ、力をつけさせる狙いがあるらしい。事実、もう数え切れないほどの人間を捕食してきた私の体は、生まれた時より遥かに大きく、この広い洞窟も随分狭く感じられるようになっていた。
最初は泣いて命を乞う人間の姿に、食欲が湧かなかったものだが、神父が私に取り付けている黒い茨の冠。彼の意に従わない時、これが体を蝕むのだ。破壊的な高周波振動が私のレネゲイドを破砕し、激しい苦痛を与えられる。私が唯一恐怖するものと言っていいだろう。
今では、人を喰らうことに何の感慨も無かった。どうせ最終的には皆殺しにするのだから躊躇うことでもなかったのだ。
鳩尾に蹴り込まれ蹲っている青年に触手を伸ばし、絡め取る。涙や鼻水や唾液で顔をぐちゃぐちゃに汚しながら、手足をばたばたと振り回し抵抗する青年を、無造作に取り込んだ。……なんのことはない、私の日常だ。男は満足気に頷くと、洞窟を後にした。
ぼうっと地面を眺めていると、ふと気付く。先程喰らった青年の持ち物だったのだろうか、薄っぺらで小さな板が落ちている。慎重に拾い上げてあれこれ触っていると、板が淡い光を放って、その表面に画像を映し出す。そこには、今しがた食い殺した男と、もう二人。大人の女と、小さい娘。家族の写真だった。
なんの悪意も見い出せない、純粋な笑顔。死に際に見せた表情とはまるで正反対のそれに、微かな痛みを覚える。茨は起動していないはずだが。
この奇妙な痛みの正体も分からぬまま、神父にこの板を見ていたことを知られても面倒だと、粉々に握り潰した。
そして再び揺蕩に戻ろうと体を宙に浮かべる。……だがやはり、あの写真が、初めて見た人間の表情が頭から離れない。
……試しに今度、食わずにおいてみようか。
生まれて初めて、私は人間に興味を抱いた。
その日やってきた人間は、妙に静かだった。年若い娘。状況を理解しているのか居ないのか、一言も発さずただ呆然と私を見上げていた。
神父は連れてきた生贄が完全にフリーズして、話を遮られないことに上機嫌なようで、私が娘を喰うのを確認せぬまま退出していった。これ幸いと、私は人間の観察を続ける。…………ピクリともしない。まさか、死んでいるのか?どうしたものかと視線を外した瞬間、視界の外でうめくのが聴こえた。なんだ、生きていたのか。大方、神父の話で私に喰い殺されると恐怖で硬直していたのだろう。実際、普段であればそうしていたわけで。とすれば、あまりじっくりと眺めていると、意識されてしまい観察に障るかもしれない。興味の無いフリをして、娘の動向を覗うことにしよう。
娘は、私を警戒しながらこの空間の調査を開始した。出口を探しているのだろう。それもそうだ、この娘は外から連れてこられ、帰る場所がある。この場所に居続けることには耐えられまい。……思えば、私は一度も外に出ようと思ったりはしなかったな。
しばらく探索を続けていたようだが、出口が見つからないことが分かると娘は項垂れ、ああだこうだと独り言を呟いていた。喉の渇きに耐えかね、水溜まりの水を飲もうとしている時など、特に喧しく葛藤しているようだった。人間は、伝える相手が居なくとも話すものなのか?……思えば、私は一度も言葉を発そうとはしなかったな。
これが人間というものか。この短い時間の中、しかし私がやろうとしなかったことを幾つも見せてくれる。
もう少し観察を続けようと思った折、そろそろ、神父の説教が始まる頃合いであることを思い出す。この騒がしい娘を見つかるわけにはいかない。私は彼女に触手を伸ばした。
連れてこられた時は静かだった癖に、突然大慌てで暴れ出した娘に驚き、思わず落としそうになる。これ以上騒がれると困るので、その小さい体を締め上げる。殺さず、しかし自由を許さない程度の加減で人間を持つのは初めてのことだったので誤って潰さないかと不安はあったが、問題は無さそうだ。
そうこうしている内、神父がやってくる。いつも通りの、曲解甚だしい説教が繰り広げられていく。
やはり、この男の語る人間の像と、私が見た人間の姿は、別のものであるように思えてならない。私が人間の全てを理解しているとはとても言えないが、あの笑顔が、裁かれる悪であったとは思えない。
……むしろ悪とは、あの家族を引き裂いた私なのではないか?あの青年に限らない。私は今まで、なんの感慨もなく人を喰い殺し、なんの情動もなく皆殺しにしようと考えていた。神父の望むままに。これが神のあるべき姿なのか?青年の持っていたあの板が思い起こされた。あれは人間の持つ道具のひとつだろう。人の意のままに操られる機械。私とあの板に、どれ程の差異があるのだろう。
ずきり。まただ。また、あの痛み。茨のもたらすものではない、私の内に生じる奇妙な苦痛。思考に耽っていた私は、はっとする。娘を握る触手に、無意識に力を込めすぎていた。もぞもぞと動く感触はするので生きてはいるだろう。しかし怪我をさせてはいないだろうか。最早、神父の語りは私の耳に届いていなかった。
私の心中も知らず語り終えた神父は満足気に退出していく。その後娘を解放してやると、彼女は噎せながらも自分の足で立ち上がった。見たところ、怪我はさせずに済んだようだ。
娘は私を見上げる。恨み言でも言われるだろうかと考えていた私に、予想もしなかった言葉が投げ掛けられた。
「一緒にここを出よう」
娘は、私と神父との関係を、憶測ながらに、しかし的確に捉えた言葉で説明してみせた。
私はあの男に利用されているだけなのだと。
本当の人間とは、あの男が語るほど醜い存在ではないし、この世界に裁かれるべき罪などないのだと。
そしてどうか、自分の言葉を信じて、手を取って欲しいと。共にあの神父を倒し、二人で外に出よう、と。
全く奇妙な話だ。この人間を生かしたことで、私の時計の針が急激に回転を速めている。ほんの気まぐれが、停滞していた私の世界の歯車を動かすための、重要な部品だったとでも言うのか。
否、元々私の世界とは、あの男の描いた虚像に過ぎなかったのだろう。それに気付かず、与えられるまま命を奪い続け、あまつさえこの世界を滅ぼすなどと、私は。
悔やむ私に、手が差し伸べられる。私は、その手に、自分の手を───────。
刹那、フラッシュバックしたのは命を乞う人間たちの顔。私が無為に喰らってきた命の数々。そして、永遠に返せぬあの笑顔。あの奇妙な痛みは激しさを増し、私の身体を傷つけぬままに蝕んでいく。
済まない、ああ、済まない、娘よ。駄目だ。駄目なのだ。私にその手は取れない。その暖かさに触れることは赦されない。この閉じた岩戸の向こう、光の当たる場所へは、決して立ち入ること儘ならないのだ。
私の触手が怯えるように飛び退くのを見て、娘はひどく悲しげに手を下ろし、そして、私はもう、彼女の眼を真っ直ぐに見据えることはなかった。
それから、数日。娘はみるみるうちに弱っていった。当然だろう。ここにはかろうじて命を繋げるだけの飲み水しかなく、声に応える者も誰も居ない。出来事といえば私の触手に包み隠され、神父の説教を聴かされることのみ。脱出すると意気込んでいたその気力も失せてしまったのだろうか、地に伏せて過ごす事が増えた。そして時折、家族や友の名を呼んで独り、泣いていた。
私はこの娘を生かすべきではなかったのだろうか。このように苦しませるだけならばいっそ、出会ったあの日に喰ってしまっていれば良かったのだろうか。
私を苛む見えない苦痛は、日に日に痛みを増していき、更には娘の姿を視界に入れる度により強まる。今の私は、彼女を喰らうことが出来ずにいた。きっとこの娘の血肉は恐ろしい毒に違いない。見ているだけでこれほど苦しいのだから、口にした暁には、私は私を保てなくなるだろう。だから私は、今日も娘から目を逸らすのだ。
……しまった。私としたことが、全く油断していた。これで神とは、とんだ笑いものだ。怒り心頭の神父に呼応するように、茨から発せられるエネルギーが私の体を破砕し、また挫滅させていく。既に肉体は、半分以下にまで朽ちて縮んでいる。
娘を生かしていたことが気付かれてしまった。
きっかけは大したことでは無い。たまたま神父が訪れる時間を見誤った。弱々しい娘に触れるのを躊躇い、少しだけ、安静に寝かせておくことを選んでしまった。
早くそれを喰え。神父が叫ぶ。同時に、娘を殺そうと異能で作り出した杭を射出してくる。崩壊していく体に鞭を打ち、神父と娘の間に立ち塞がり、それを全身で受け止める。何故、名も知らぬ人間一人の為にここまでしているのか、私は私自身が分からなかった。
娘が何事かを叫んでいるのが聴こえたが、もう、この体は限界だった。遂に私を見限ったのだろう、神父は一際大きな杭を作り出すと、娘ではなく、私を狙いそれを放った。
死ぬのだな。私は今日ここで。
そう確信し、しかし恐怖は無かった。絶対に避けられない死を前に、それが今まで、自分が数多の罪無き人々に振り下ろしてきた謂れなき裁きであることを理解した。同時に、今まで私の内側を蝕んでいたこの見えない痛みの正体をも理解した。
これは罪悪感と呼ぶのだろう。無知蒙昧に命を奪い続けてきた愚かな自分を見つめ直し、その醜悪さに心が灼かれていたのだ。
やはり、人々に罪など無い。あるとしたら、それは何も考えず彼らを殺め続けてきた、意志薄弱な私にこそだ。
生まれてきた理由が間違っていたのだと理解した時、奇妙にも体が軽くなった心地がした。私の心と体は、完全に死を受け入れていた。
ああ、だが、せめてこの娘だけは生かしてやってくれないだろうか。ぼんやりと、そんな思いが過ぎった。
───────刹那。私の背後で、何かが動く気配がした。背後で怯えていたはずの娘が立ち上がり、駆け出していた。神父の放った杭と、私との間に躍り出たのだ。
まずい、まずいまずいまずい。このままでは、君が死んでしまう。
私は、産まれて始めて、力の限り咆哮した。
④神枝メイの狂信
私は絶望の淵に居た。朝も夜も分からない洞窟の中で、ゆっくりと死んでいくのだと思うようになっていた。
数日前、神さまに協力を呼びかけてみたものの、結果は、失敗に終わってしまった。差し出した掌を取ってくれるかと思えたあの触手は、ビクリと跳ねて引っ込むと、それ以来、私に近寄ろうとしてくれなくなった。
今や、私では手の届かない高さでずっと浮いているだけ。神父が来る時になったら私を包んで隠すけれど、それが終わったら降ろされて、またふわふわ。
何度声をかけても反応してくれなくなったし、万策尽きた私は、家に帰りたいと泣くことしか出来なくなってしまった。
気力もすっかり萎えてしまって、横になって過ごす時間が増えた。洞窟の中の汚い水たまりの水を飲むのにも慣れてしまった。
これからどうなるんだろう。……どうでもいいか。暗澹とした諦念を抱いて、私は今日も目を閉じる。
怒鳴り声で飛び起きる。直後に聴こえて来るのは、絶えず響き続ける重々しく、鈍い音。
視界に広がったのは神さまの大きな後ろ姿。その向こう側で神父が叫んでいる。「早くそれを喰え」。直後に、神さまの体に何かが突き刺さり、その先端が貫通して私を向く。黒っぽくて大きな杭のような物だった。よく見てみれば、その体は激しく痙攣しながら、徐々に崩壊しているように見えた。更に杭を打ち込まれて、崩壊は加速している。みるみるうちにその体が縮んでいくのがわかった。
そうか、神さまは今、私を守るために命懸けで盾になってくれてるんだ。そう気付く。
なんで、どうして?その疑問を叫ぶけど、返事は無い。
神父は舌打ちをひとつ、そして、これまでよりもずっと大きな杭を作り出した。
殺す気だ。直感的に悟った瞬間、私の脚は弾かれるように駆け出していた。
理由なんて説明出来ないけれど、神さまがどうして私を守ってくれたのかは今、何となく理解できた。きっと、私たちはお互いに、死んで欲しくないんだ。
二人の間に飛び出した。
───────瞬間、耳を劈くような轟音が響く。
神さまが、吼えていた。放たれる衝撃波によって、飛んできた杭が、硬い岩壁が、全て砕けて、降ってくる岩や破片さえ更に砕けて、視界に映るすべてが粉になっていく。
天井さえ無くなって、視界にはもう二度と見上げることは出来ないと諦めかけていた青空と、陽の光が私たちを見下ろしていた。
すごい。これが神さまの力なんだ。
こんな力があるなんて予想外だったみたいで、神父は腰を抜かして尻もちをつき、あんぐりと口を開けているようだった。
そんな神父を他所に、伸びてきた触手が私を抱いて空へと飛び立つ。もうボロボロで縮んでしまった体だから、いつものように片手間に包むことが出来ずに、抱き締められるような形で抱えられている。
触手たちから身を乗り出して見下ろしてみれば、あっという間に神父が遠ざかって、木々の緑の中に埋もれていく。
どうやらこの場所は山だったみたい。どうやったのか分からないけれど、岩壁の中に作った空間に私たちは閉じ込められていたようで、見下ろす景色は一面緑色。それでも目を凝らせば視界の向こうに住宅外があるのが見えた。
神さまに住宅街の方向に向かうよう呼びかけてみると、すぐさまその方向に飛んでくれた。
神さまは、どれだけ傷付けられても構わないというように私を守ってくれた。悪者なんかじゃない、もっと優しい存在なんだ。きっと神さまと私たち、友達になれるよね。そんな期待が膨らむのと共に、街がだんだん近付いてきた。
人々の悲鳴が響く。腰を抜かして逃げる人、遠巻きにスマホで撮影する人、様々だ。
人里に降りた私は必死に神さまは化け物なんかじゃないって呼びかけるけど、誰も聞いてはくれなかった。どうして分かってくれないの?神さまは私を命懸けで守ってくれたのに……!
呆然とした様子で浮いていた神さまは私を降ろすと、先程まで居た山の方向へ飛び去ってしまう。待って、待ってよ。私たちちゃんと分かり合えるよ。友達になれるはずなんだよ。だから、行かないで。
私は飛び去る影を追いかけた。
山道に戻ってくる頃にはすっかり日が暮れて夜になってしまっていた。本当は早くお母さんとお父さんに会いたいけど、今ここで帰ったら、二度と神さまは私の前に現れてくれない気がしたから。
だから必死に呼びかける。神さま、何処にいるの?
少しの物音も聞き漏らすまいとする私の耳に、話し声が聴こえてくる。誰かいるの?声のする方向に向かってみると、複数人の男女がライトを手に会話していた。
歳は私と同じくらいだったり、あるいは少し上くらいに見える子、大人だったりとバラバラ。でもみんな同じような黒っぽい衣装に身を包んでいる。それはまるで映画の特殊部隊が着ているようなデザインをしていて、よく見てみると『UGN』って書いてあるように見えた。なんなんだろう、『UGN』って。
木の影から覗いていた私は、彼らの観察に夢中になって、足元の枝に気付かず、踏み折ってしまった。
瞬間、彼らの視線とライトが一斉に私を向く。殺気立った瞳に睨まれて、ひっ、と短い悲鳴を上げてしまう。
思わず、私は走り出した。捕まったら何をされるか分からない。もしかして、殺されるかもしれない。そう考えた次の瞬間、何かが弾けるような音が背後、横の木から続けざまに響くと、私の目の前に『UGN』の1人が降り立った。とんでもない速度で、地面と木の幹を蹴って跳んで追いついてきたんだ。こんなことが出来るなんて普通じゃない。頭の中に、あの神父の姿が過ぎった。この人達も、神父と同じ超能力者なの?
彼の手にはナイフと拳銃が握られていて、下手に動けばすぐさま攻撃してくるだろうことが分かる。恐怖で私は立ち尽くした。後ろからも足音が迫って来る。どうしよう、どうしよう。
「たすけて、神さま」
大きな風が吹く。木がざわざわと揺れて、たくさんの葉っぱが散る。ああ、やっぱりあなたは、優しいんだ。
私の頭上に、神さまが浮いていた。木々を倒しながら、ゆっくりと私の前に降りてきて、『UGN』の人達の間に立ち塞がって、守ってくれている。
彼等は神さまの出現に驚いて、臨戦態勢になる。
「目標発見。戦闘を開始する。ワーディング展開」
私の意識は、そこで途切れた。
……真っ白な場所で、私は目覚める。辺りを見回しても一面真っ白。ここは、何処だろう。
「すまなかった。最期まで、君を巻き込んでしまって」
声に振り返る。目の前には真っ白な髪と仄かに赤い瞳をした、ぞっとするほど綺麗な女の子が立っていた。まさか、あなたは、神さま?
「私は、そう呼ばれるべき存在ではないよ」
「本当に神であるなら、君をもっと早くに助け出せていた」
「だが所詮、私は化物に過ぎない」
「君を危険に晒すことにもなってしまった」
「正しい選択は何一つ出来なかった」
「そして……人間と共に生きることは出来ないと知った」
寂しげに微笑む神さまにどうしようもなく胸が苦しくなって、私は思わず叫ぶように語りかけた。
「違うよ!」
「あなたは悪い化け物なんかじゃないし、何度も私を守ろうとしてくれてた!」
「あなたは私にとっての神さまだった!悪いのはあなたのことをなんにも……っ」
神さまが掌を向け、遮る。そんな寂しい目、しないでよ……折角初めてお話出来たのに、こんなの悲しすぎるよ。
「私は弱く、愚かで、鈍間だった」
「だが、そんな命でも、最期に使い道を見つけたんだ」
「私はもう、君を守ってやることは出来ない、それでも」
「託すことは出来る」
「君がこの先歩む道の、ほんの一助にでもなれるなら、私は嬉しい」
「そして、願っている」
「君の未来に、幸多からんことを」
「……そして、いつか、生まれ変われたなら」
「今度は、君たちの傍に居たい」
待って───────
その声が彼女に届く前に、私の視界は全て光に包まれていった。
再び目を覚ます。そこは先程の山の中。けれど、神さまは何処にも居ない。
「まずいことになったな」
『UGN』の男が呟く。彼等はそれぞれが武器を持ったり、体に炎を纏ったりして武装している。
神さまは、何処に行ったの?
「君、分かるか?聞こえているか?」
「我々はあの怪物を追ってここに来ていた」
「奴が危険な存在なら、討伐するためにね」
「だが奴は、君を人質に取った上、死に際に感染させてしまった」
「我々と同じ、オーヴァードに」
………………………死んだ?神さまが?『UGN』の手で、殺された?
男がなにやら続けていた気がするけど、もう、私には何も聞こえていなかった。
なんなんだ、どいつもこいつも。誰も神さまのことを理解してあげられない。ただ、共に生きたいと願っていただけなのに。それを、お前たちは。
「死ね」
ぐちゃぐちゃと喋る男の言葉を遮り、一言。心の奥の奥から、それは漏れ出た。
同時に、男の頭が、割れたスイカのように弾け飛んだ。白い光の束が彼の頭を貫いた後、弧を描いて私の元に戻り、からん、と甲高い金属を響かせる。
それは、真っ白な剣だった。神さまの翼に似た、純白の剣。それが私の内側から飛び出したんだ。
「暴走確認。戦闘を再開する!」
焦りを隠し切れない様子で、周囲の『UGN』たちが構える。
それに応じるように、私も立ち上がって剣を持ち上げる……けれど、こんなもの私の力じゃ振るえないよ。戦うなんて、どうすればいいの?
四方から迫る一撃に、思わず剣を手放して身を庇う。……覚悟した痛みは、来なかった。
恐る恐る目を開けば、手放した剣がひとりでに動き、攻撃を凌いでいる。まるでそれは、見えない手に操られているかのように宙を舞っている。
ああ、そっか。神さまは、私の中に居るんだね。私がひとりでも生きていけるように、戦えるように、力を授けてくれたんだ。
既に恐怖は私の中から無くなっていた。
「死ね」
あるのは、神さまを殺めた連中への憎悪のみ。想いに呼応するように、剣が白い光を放ち始める。光は剣に巻き付き、白い炎のような形を取り、渦巻く。
そして真っ直ぐに連中に向かっていき、炸裂した。白い光が辺りを飲み込み、まるでここ一帯だけ、夜に太陽が昇ったのかと錯覚するほどの眩さが満ち満ちた。
光に焼き尽くされた連中は、もはや誰が誰かも判然としない程に炭化し尽くされていた。周囲の木々も吹き飛んで、まるで荒野に立っているかのよう。
その爆発の中心で、私は呆然と立ち尽くして、神さまの最期の言葉を反芻していた。
神さま、あなたは人間と共に生きられないって、自分を責めてた。違うよ、悪いのはあなたじゃない。
優しいあなたを認めなかったこの世界が悪いに決まってる。あなたの事を、世界を滅ぼす道具や、悪い化け物としてしか捉えなかった人間たちが悪いんだ。
だから、私は戦うよ。生まれ変われたなら今度こそ傍に居たいと言ってくれたあなたの為に。
あなたが生きられる世界を私が作る。あなたの願いを私が叶える。
その為には、今の世界は醜すぎる。あなたと一緒に居ていい人間なんて何処にもいない。
だから、綺麗にしなくちゃ。
新しい世界の前の、大きな大きな大掃除を始めないと。だよね、神さま。
⑤FHエージェント 神判代行者
3年前にFHに参入したエージェント。覚醒に際し、UGNの部隊を全滅させたことで追われる立場となっていた所をスカウトされ、現在に至る。
元FHエージェントであった男が生み出したレネゲイドビーイングとの接触によって覚醒したと見られており、その個体への強い執着を示している。
オーヴァードを含めた人類全体への強い殺意を持ち、危険視する者も少なくないが、それらを黙らせるだけの能力を有していることから、彼女の存在を有用と見る者も多い。
彼女から発現する渦巻く炎の剣は強力な武器であり、その内にはレネゲイドビーイングの遺志が僅かに宿っている。それは、神判代行者の殺戮行為に強い抵抗を示し続けており、神判代行者が暴走……つまり、レネゲイドのコントロールを失った状態になると体内のレネゲイドウィルスのコントロールを一時的に奪取し、強制的な機能停止による自害を図ることが確認されている。また、この事実を神判代行者本人は知り得ない。
また、元FHエージェントであった神父服の男の所在は未だ掴めておらず、一部のセルは、如何にしてレネゲイドビーイングを人為的に生産、また育成していたのかを突き止めるべく、彼を追跡中である。
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| フルスクラッチ作成 | 4 | ||||
| 1 | 3/10 | オーキッドクライシス | フレディさん | ミライさん焼き金さんガラパゴスシマユーレイさんでんしゃさん | |
| 幸せな夢を見た。覚めないで欲しいなんて願ってしまうほど、大好きな人たちとの夢。……叶えるよ、その為に、次に会ったときは、ちゃんと殺すから。 | |||||